
2011-10-05
宙に浮く中学公民教科書 (八重山・沖縄)
宙に浮く中学公民教科書 文科省、県教委は早急に着地点示せ
■文科省が混乱に拍車
中学校の公民教科書採択をめぐる動きが先月16日の国への報告期限を最後にこう着状態に陥っている。
育鵬社を採択した8月23日の地区採択協議会の決定と、東京書籍を選定した9月8日の3市町教育委員全員協議の決定に対し、中川正春文科相の発言が二転三転してぶれているためだ。
その点、県教委は、開会中の県議会でも改めて大城浩教育長が、「8日の全員協議こそが有効。これが八重山の総意」と答弁するなど、ぶれる文科相とは対照的にその姿勢は一貫している。それはそうだろう、全員協議は3市町教委がそれぞれ違った決定をしたのに対し、県教委として文科省の指導も仰ぎながら6時間の議論の末、ようやくたどり着いた結論だからだ。
それを中川文科相が恐らく地元のこうした経過の誤認、官僚の誘導、自民部会の圧力などがあったのか、それを簡単に否定。あとは両方協議は整っていないと発言を二転三転。一方で森裕子副大臣は当初から採択協議会が有効と述べるなど、文字通り文科省自体が“閣内不一致”状態を露呈するのだから混乱するのは当たり前だろう。
いわば八重山の教科書問題はまず玉津博克石垣市教育長の恣(し)意的な地区策定協議会運営に振り回され、今は文科省の一貫しない対応に混乱させられている状態にある。
■着地点は見えず
石垣市は独自に採択の意向も示すなど竹富町、与那国町の3市町教委とも自らの決定の有効性を主張したままこう着状態が続き、今のところ着地点は全く見えない。
この間、市議会や県議会では同問題が与野党双方から取り上げられたが、解決の糸口は全くつかめなかった。その中で市議会一般質問では、与野党ともに揚げ足取りのやり取りが目立ち、市民から議員として品位を問われる苦情があったのは双方反省事項だろう。
さらに玉津教育長に対しては、与党議員数人からもそのふんぞり返った議場内での不遜(ふそん)な態度や「調査員という名前の者ども」発言など、その言動に苦言があった。立派な教育者、改革者として評価されるなら、子どもたちの視線も視野に入れ直ちに改めるは改めるべきだろう。でないと逆に単なる“偽善者”といわれかねない。
この問題解決に向けて県教委は「全員協議の有効性」を主張して文科省の指導待ちの状態にある。
これに対し文科省も、中川文科相が同一地区内は同じ教科書を採択するという教科書無償措置法と、採択権限は市町村教委にあるとする地方教育行政法の兼ね合いで法解釈を詰め、最終的に結論を出す意向を示すも、それはいつかその目処や見通しは不透明だ。
■新たな枠組みで採択を
確かにこのようにもつれにもつれた糸をほどくのは容易でない。それならこれまで両方の採択に関わった皆さんは総退場してもらい、今回は特例で委員を新たに選任、新しい枠組みで採択しなおすことは不可能なことなのか。その場合、委員の選任方法が課題だ。
この問題では中立の公明の大石市議が、国、県、地元関係者が一つのテーブルについて対話の必要性を指摘していたが、確かに大切なことだ。特にこの問題はそうした勢力が地域を“狙い撃ち”しているふしも見られ、今後も起こりうる要素がある。文科省や県教委は、今回その欠陥が問題になっている法整備をきちんとして、ちゃんとした解決策を示さなければ、県内各地で今後も同じような混乱が予想される。
八重山毎日新聞
■文科省が混乱に拍車
中学校の公民教科書採択をめぐる動きが先月16日の国への報告期限を最後にこう着状態に陥っている。
育鵬社を採択した8月23日の地区採択協議会の決定と、東京書籍を選定した9月8日の3市町教育委員全員協議の決定に対し、中川正春文科相の発言が二転三転してぶれているためだ。
その点、県教委は、開会中の県議会でも改めて大城浩教育長が、「8日の全員協議こそが有効。これが八重山の総意」と答弁するなど、ぶれる文科相とは対照的にその姿勢は一貫している。それはそうだろう、全員協議は3市町教委がそれぞれ違った決定をしたのに対し、県教委として文科省の指導も仰ぎながら6時間の議論の末、ようやくたどり着いた結論だからだ。
それを中川文科相が恐らく地元のこうした経過の誤認、官僚の誘導、自民部会の圧力などがあったのか、それを簡単に否定。あとは両方協議は整っていないと発言を二転三転。一方で森裕子副大臣は当初から採択協議会が有効と述べるなど、文字通り文科省自体が“閣内不一致”状態を露呈するのだから混乱するのは当たり前だろう。
いわば八重山の教科書問題はまず玉津博克石垣市教育長の恣(し)意的な地区策定協議会運営に振り回され、今は文科省の一貫しない対応に混乱させられている状態にある。
■着地点は見えず
石垣市は独自に採択の意向も示すなど竹富町、与那国町の3市町教委とも自らの決定の有効性を主張したままこう着状態が続き、今のところ着地点は全く見えない。
この間、市議会や県議会では同問題が与野党双方から取り上げられたが、解決の糸口は全くつかめなかった。その中で市議会一般質問では、与野党ともに揚げ足取りのやり取りが目立ち、市民から議員として品位を問われる苦情があったのは双方反省事項だろう。
さらに玉津教育長に対しては、与党議員数人からもそのふんぞり返った議場内での不遜(ふそん)な態度や「調査員という名前の者ども」発言など、その言動に苦言があった。立派な教育者、改革者として評価されるなら、子どもたちの視線も視野に入れ直ちに改めるは改めるべきだろう。でないと逆に単なる“偽善者”といわれかねない。
この問題解決に向けて県教委は「全員協議の有効性」を主張して文科省の指導待ちの状態にある。
これに対し文科省も、中川文科相が同一地区内は同じ教科書を採択するという教科書無償措置法と、採択権限は市町村教委にあるとする地方教育行政法の兼ね合いで法解釈を詰め、最終的に結論を出す意向を示すも、それはいつかその目処や見通しは不透明だ。
■新たな枠組みで採択を
確かにこのようにもつれにもつれた糸をほどくのは容易でない。それならこれまで両方の採択に関わった皆さんは総退場してもらい、今回は特例で委員を新たに選任、新しい枠組みで採択しなおすことは不可能なことなのか。その場合、委員の選任方法が課題だ。
この問題では中立の公明の大石市議が、国、県、地元関係者が一つのテーブルについて対話の必要性を指摘していたが、確かに大切なことだ。特にこの問題はそうした勢力が地域を“狙い撃ち”しているふしも見られ、今後も起こりうる要素がある。文科省や県教委は、今回その欠陥が問題になっている法整備をきちんとして、ちゃんとした解決策を示さなければ、県内各地で今後も同じような混乱が予想される。
八重山毎日新聞

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