2011-11-05



「最古の伝来地」売りに (MIYAKOSIMA/沖縄)

島産イモの栽培普及へ/市農林水産部「最古の伝来地」
売りに/プロジェクトチームの設置準備


市が生産面積の拡大と販路の拡大を目指すイモ。
写真は紫イモ(資料写真)

 イモは、1605年に進貢船の乗員であった野國總管が中国から持ち帰って野國村(現・嘉手納町)で栽培し、琉球の各地に広めたとされている。これが薩摩にも伝わり、今の「サツマイモ」として日本各地に普及していった。

 このようにして広がったイモの最初の伝来地が宮古島といわれる。

 諸説はあるが、野國總管が琉球に持ち帰った年の11年前に当たる1594年、宮古島の砂川親雲上旨屋が沖縄本島からの帰途に嵐に遭って中国に漂着。3年後の97年に宮古にイモを持ち帰り、島内で栽培・普及させたという。

 宮古島市教育委員会が編集・発行した「宮古島市の文化財」にも同様の史実が記載されており、これに従えば琉球最古のイモの伝来地は宮古島となる。

 農林水産部はこの歴史に着目。戦前は主食として島民を支えたイモを見直し、現代の需要の波に乗って生産・販路の拡大を図る考えだ。

 イモは干ばつや台風に強い作物で、季節を問わず年に2回収穫できる。県内の相場で生イモ1㌔当たりの買取代金は150円、10㌃当たりの収量(反収)は平均1・8㌧としており、販路が安定すれば反収で万円の収益を生む。

 他の作物に比べて投資コストが低く抑えられる点も利点だ。

イモは定番の焼きイモのほか、ペースト状に加工して焼酎や菓子の原料として使用できる。葉を食するためのレシピもあり、県内はもとより全国で需要が拡大傾向にある。

 栄養価も注目され、中でも紫イモはポリフェノールの一種・アントシアニンを含有。研究によって血液抗酸化機能の上昇、肝機能の改善、血圧上昇の抑制、便通促進など体調調節機能が確認されているという。

 市農林水産部農政課のまとめによると、宮古地区の生産農家は92戸。生産面積は1374㌃、総生産量は247・5㌧だが、このうち出荷、販売している農家は戸で全体の2割にも満たないのが現状だ。

 今後は、「琉球最古の伝来地」という優位性を生かして生産面積、生産量、販売実績の年次計画を立てる方針。市農政課の赤嶺淳幸係長は「宮古島産イモの生産拡大を図り販売先、ルートを確保し農家所得の向上に努めたい」と話している。

.宮古毎日新聞

 県民フォーラム (OKINAWA)

沖縄優位性活用探る 県民フォーラム 

県は4日夜、次の10年の新たな沖縄づくりを考える県民フォーラムを那覇市内で開いた。霞が関改革を進める「脱藩官僚」として知られる、元経済産業省の岸博幸氏(慶應義塾大大学院教授)が講演。
国に頼る従来の振興体制から転換し、沖縄の優位性を生かして経済が低迷する日本を救う〝救国県〟を目指す方向性を提起した。
沖縄の潜在力を「47都道府県で最も高い」とし、独自の自然、歴史、文化を生かした成長戦略を策定することで「地域主権の成功例をつくれる」と期待感を示した。

 復帰後4次の計画で使われた「振興」の名称は「(遅れの挽回を意味する)キャッチアップであり、やめたほうがいい」と新たな呼称の採用を提起。岸氏は中央官僚の傾向として「沖縄を特別視しない『悪平等の原則』を堅持している」と説明。使途が自由な一括交付金などを勝ち取るため「県と市町村、県民が一体となって必要な法律、制度を突きつけなければ今の霞が関では実現しない」と指摘した。

 有識者と経営者、離島首長、医師によるパネル討論では、人材育成の必要性で一致。母親が安心して子育てできる社会をつくることで出生率を上げ、人口と市場規模を拡大し、長期的な経済成長の基盤を整える必要性も示された。

独自の自然文化 強さ発揮
岸博幸氏・慶應義塾大大学院教授

 沖縄は全国で最もポテンシャルがある。独自の自然と伝統文化がある地域はグローバル化の中で強さを発揮する。優秀な企業や人は住む場所を選ぶ時代だからだ。

 その沖縄がなぜ日本のフロントランナーになれないのか。地域発展のコストをほかの地方と同様、国に依存してきた点が大きい。

 霞が関による地域振興は、地域の実情と食い違いが出ている。新たな沖縄振興法で何が必要か。カジノ構想も、沖縄振興一括交付金も正しいが、要求するだけでなく、振興実現の具体策を沖縄自身が示さなければならない。

「人の良さ」可能性は無限
大浜悦子氏・小児科医師

 長く神奈川県に住み、今年4月から沖縄に戻ってきた。沖縄は古里であり安らげる場所だが、何と言っても人の良さが一番。地域社会の核となる「人の良さ」という大切な部分が根付いている。

 長い歴史の中で沖縄は常に厳しい状況にあったが、そのなかでも強く生きてきたしなやかさもまた魅力の一つ。これまでも海を通して世界中からさまざまな物を取り入れて全国に紹介してきた。優しさや度量の大きさが基本になる。家族や地域の力、心のDNAを若い世代に引き継いでいけば無限の可能性がある。

沖縄の街並み 再生に全力
仲本豊氏・仲本工業社長

 沖縄の抱える課題は大きく二つある。一つは基地問題で、二つ目は離島問題。広大な基地は陸上だけでなく空や海の訓練区域も及ぶ。だが跡利用となると原状回復もうまくいかない。土地利用に法整備が必要だ。離島問題として物流コストはもちろん例えば電気料金などインフラのコストも高い。カバーが必要だ。

 こうした問題を考えると、今後10年は沖縄独自の魅力磨きに全力を傾けるべきだ。消波ブロックで埋め尽くされた海岸を再生し、沖縄らしい街並みをもう一度つくる。それが成長戦略になり得るのではないか。

離島の生活環境 改善必要
宮里哲氏・座間味村長

 本島から40キロ離れた座間味村をはじめ県内の小規模離島には、大規模な病院がなく高校や高齢者の福祉施設もない。

 移動コストが高く、水道料金も高い―などいろんな問題がある。離島には住みづらい環境が放置されている。

 座間味村でも今回の国勢調査で前回調査より2割弱人口が減った。自然環境を売りものにした観光地であるため、下水道、ごみ処理施設などインフラ整備が必要だが、それには多大な住民負担が発生しているのが現状だ。こうした離島の住みにくさを解消していくことが求められる。

  沖縄タイムス

航空連、県・議会にSKY運賃変更命令要請(沖縄)

航空連、県・議会にSKY運賃変更命令要請

 航空労組連絡会(近村一也議長)は4日、県と県議会に対し、那覇―宮古線に格安運賃で参入したスカイマーク(SKY、東京都)の運賃変更命令措置や日本トランスオーシャン航空(JTA、那覇市)の羽田空港発着枠確保などを、国土交通省に求めるよう要請した。SKYの参入でJTAの経営環境が厳しくなれば、県内離島路線の維持に影響が出ると指摘。県にJTA株主として経営施策に積極的に関与するよう申し入れた。

 同日、県庁で会見した菊池富士夫政策担当顧問は「SKYの運賃設定はJTAの経営、ひいては島しょ県沖縄の旅客や物流にも影響を与える」と述べた。

 航空連は、SKYの運賃設定が独占禁止法で禁止されている不当廉売に当たると主張。中川明副議長は「SKYは国内主要路線も運航しているので宮古線の収益性を度外視している」とした上で、「JTAは離島路線が主。羽田空港発着枠をもらわないと勝負にならない」と強調した。

 JTAの羽田空港発着枠は現在0・5便。親会社の日本航空(JAL)グループに与えられた発着枠はJALが優先的に使用しているため、JTAの那覇―羽田線の運航が制限されている。航空連は、JTAの経営基盤強化には、収益性の高い羽田線を一定量に増やす必要があると提起。そのほか、本土―那覇―離島の乗り継ぎ運賃制度を拡充するよう国交省に要望している。

 要請を受けた高嶺善伸県議会議長は「民間同士の問題ではなく、県は株主として責任を持つ立場にある。公租公課の部分で県や国と協力できないか検討し、これまで以上に急ピッチで打開策を話し合っていきたい」と述べ、12月定例議会で委員会に付託し議論する方針を示した。

  沖縄タイムス

八重山教科書:採択協の会議録公開 (沖縄)

八重山教科書:採択協の会議録公開

 八重山の中学校公民教科書採択問題で、育鵬社版を選定した八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)は4日、同問題に関する全7回分の会議録を公開した。八重山地区住民の会の情報公開に応えた。
会議録では、玉津会長が「建前上は全部見るが、裏の話で全部は見られない」などと発言し、協議会メンバーが教科書全部に目を通せない可能性を示唆していた。調査員の順位付けについても「委員が影響され、拘束される」と、かたくなに否定する発言を繰り返していたことも明らかになった。

 会議の中では、調査員の順位付けの是非をめぐるやりとりが多く見られた。

 7月19日の連絡会では、委員が「調査員は1カ月かけてしっかり評価している。短期間で教科書を見ることは厳しいので、調査員の意見を参考にしたい」と要望した。

 これに対し、玉津会長は「最初から見られないとの話はしないで」と指摘した上で、「建前上、基本的には全部見る。やりますが、裏の話で全部は見られないということであれば…」「全部見てくださいね、と言って『はい』となるが、いやー、でも実際は、という話であれば、ということ」などと発言。本音と建前を使い分け、協議会メンバーが教科書全部に目を通さないことを容認するようなやりとりがあった。

 8月9日の役員会では、玉津会長が「指導といいながら指導文書は出してこないのは何か」、同会副会長の崎原用能与那国町教育長は「県は指導をし切れない。自分たちは関わらないようにということ」と県教育委員会の対応に疑義を持っている。

 さらに、翌日の臨時会へ県教委が傍聴を要請したことに対しても、「義務教育課の2人が来るとはとんでもない話」(玉津会長)、「文句が言いたい」(崎原副会長)と強く反発していた。

 公開された会議録は6月27日の協議会総会、7月19日の連絡会、26日の第1回役員会、8月9日の第2回役員会、10日の臨時協議会、23日の協議会、31日の第3回役員会の7回分。

  沖縄タイムス

八重山教科書 保護者と2小学生、石垣市教委を提訴へ (沖縄)

八重山教科書採択問題 八重山教科書 
保護者と2小学生、石垣市教委を提訴へ
 

  【八重山】 
来年度から中学校で使用する公民教科書の採択が同一地区内で割れている八重山教科書採択問題で、将来、石垣市教育委員会が採択した教科書を使用する予定の石垣市内の小学生2人とその保護者らが、石垣市教委を相手に東京書籍版公民教科書の無償給付を確認する行政訴訟を提起する意向を固めた。
保護者を支える市民が原告団を組織し、来週半ばにも那覇地裁に提訴する。教科書採択手続きの是非を問う行政訴訟は全国で初めて。

 裁判を通し、育鵬社版を選定した教科用図書八重山採択地区協議会や、石垣市教委の行政手続きの問題点を明らかにしたい考えだ。

 原告団は育鵬社版を選定した教科用図書八重山採択地区協議会の答申に法的拘束力はなく、東京書籍版を採択した竹富町教委の判断は違法性がないと説明。公民教科書の一本化に向けて9月8日に開催された八重山の教育委員全員による協議で採択された東京書籍版が有効だと主張する。

 育鵬社版を採択した玉津博克石垣市教育長と与那国町教委は全員協議への参加に合意がなかったとして文科省に無効文書を送付。文部科学省はこの文書などを基に全員協議が「整っていない」と判断している。

 一方、原告団の井口博弁護士は全員協議の採決に教育委員13人中11人が参加したことで、定足数を満たし協議が成立していると主張。さらに各教育委員会から過半数の委員が採決に加わっていることから、教育委員会の同意を得られたと考えている。協議会の答申や、役員による再協議が有効で、竹富町教委が無償給付の対象とならないとした文科省の見解についても誤りと指摘している。

 裁判は小学生の保護者が代理人として参加する。保護者が中心となって原告団を構成し、市民以外からも参加を募る。


  琉球新報

全国の郷友、続々来島「お帰り」(宮古島・沖縄)

全国の郷友、続々来島/生まり島大会
きょう開幕「お帰り」と歓迎の輪


生まり島大会参加のため来島し参加証を受け取る郷友の皆さん
=4日、宮古空港

 全国の郷友が集う生(ん)まり島(ずま)・ミャーク大会がきょう5日、開幕する。大会参加者は午後2時から市内3通り(西里、下里、市場)でパレードを行う。
終了後はJAおきなわ宮古地区本部ホールで歓迎ぷからすパーティーに参加し、古里・宮古島を語り合いながら交流を深める。郷友らは大会に合わせて続々と来島、空港で参加証を受け取り「全国各地の郷友や地元の皆さんとの交流を楽しみたい」と話し、大会参加と帰省の喜びを笑顔で表現した。

 大会は5、6の両日開催される。5日はパレードと歓迎パーティー。6日はスマフツ自慢とクイチャーフェスティバル、トゥズミパーティーが開かれる。

 協力イベントで4日夜には国際映画祭で審査員特別賞を受賞した大西功一監督のドキュメンタリー映画「スケッチ・オブ・ミャーク」の上映会があり、多くの市民が来場して宮古各地で歌い継がれてきた古謡や神歌の世界に酔った。

 協力イベントはきょう5日にもあり、クイチャーパラダイスの宮古島公演が午前11時からマティダ市民劇場で開かれる。入場無料。

 7日には関連イベントの「豊見親会議」が市内ホテルで開催される。各界を代表する宮古出身者が宮古振興をテーマに意見を交わす。

 大会期間中は全国から約210人の郷友が来島する見込み。宮古島市の発展を確認しながら、各イベントに参加して生まれ故郷の良さを体感する。

 兵庫県から来島した伊波健治さんは「大きなイベントだから、今回は家族みんなで来た。パレードが一番の楽しみ」と大会を心待ちにしている様子で話した。同じく兵庫県の平良光子さんは「親せきもたくさんいるので会えるのがとても楽しみ」と帰省を喜んだ。

 平良一夫さんは20年ぶりの来島。「久し振りに宮古の空気を吸って楽しみたい。期間中は本家の墓参りをする。大会では、クイチャーフェスティバルに期待している」と話した。

 大会の狙いは、宮古人のネットワークを構築して宮古振興を図ること。基本方針には①宮古人のアイデンティティーを確認する②宮古人ネットワークを継承し宮古島の未来への絆を拡充する③宮古島の魅力を再確認し、それを全国に発信して宮古人の持続的な交流を推進する-を掲げた。

 きょう5日のミャーク大会パレードでは市内3通りで交通規制が敷かれ、開始時間の午後2時から車両の通行はできない。

. 宮古毎日新聞

台湾選手団来沖 (OKINAWA)

台湾選手団来沖 尚巴志ハーフマラソン 

古謝景春南城市長らと記念撮影をする台湾の選手団
=4日、那覇空港

 6日開催の2011尚巴志ハーフマラソンin南城市(主催・同大会実行委員会、南城市、共催・沖縄タイムス社、琉球放送)に出場するため、台湾からの選手団約40人が4日、来沖した。海外からの団体出場は初めて。

 今回は10回大会を記念して、沖縄・台湾交流振興会の平田久雄代表らが台湾からジョガーの参加を呼び掛けていた。

 那覇空港国際線ターミナルで、選手団を迎えた南城市の古謝景春市長は「沖縄の歴史と文化、豊かな自然を満喫してほしい」と歓迎した。

 選手団団長の曽太平さん(65)は「沖縄と台湾の友好的な交流を深めたい」と決意。100キロマラソンで台湾記録7時間37分30秒の保持者・郭宗智さん(58)は「(尚巴志では)1時間半が目標。リラックスして走りたい」と意欲を見せた。

  沖縄タイムス

貴婦人 田の散策 (沖縄)

貴婦人 田の散策 金武にタゲリ飛来

金武町に飛来し、水田地域でエサを探すタゲリ
=4日朝(福元大輔撮影)

 【金武】
冬の渡り鳥でチドリ科のタゲリが、金武町内に飛来している。
4日には収穫前の稲穂が黄金色に輝く水田で、昆虫などのエサをついばんでいた。
片足で田んぼをたたき、ミミズなどを追い出す習性から「田を蹴る鳥」でタゲリとなったという説がある。

 頭頂部から反るように伸びる黒く長い冠羽(かんう)が特徴で、緑色の羽は光沢を帯びる。「冬の貴婦人」とも呼ばれ、飛び立つ際などに「ミャー」とネコのように鳴く。

   沖縄タイムス