2011-10-05



琉球王朝時代の菓子復活 (沖縄)

琉球王朝時代の菓子復活 
小説をきっかけに「千寿こう」
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30年ぶりに再現された琉球伝統菓子「千寿こう」

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千寿こうを作る安谷屋聡工場長(右)と新垣淑豊専務
=南城市の同社工場
 
琉球王朝が舞台の小説「テンペスト」(池上永一著)がきっかけで、那覇市首里に本社がある「ちんすこう本舗新垣菓子店」が琉球伝統菓子「千寿こう(せんじゅこう)」を30年ぶりに再現、販売している。創業79年、王朝時代の料理人にルーツを持つ同店が伝統の製法で今年2月から手作りしている。
 
千寿こうは、ピーナツバターとごま、かんきつ系の皮を砂糖で煮詰めた「きっぱん」を混ぜたあんを、ラードを使ったパイ生地で包む。
 
食べた瞬間にピーナツとごまの風味がし、後からかんきつ系の爽やかさが口に広がる。
 
新垣淑豊(よしとよ)専務(36)は「法事や祝い事で使われ、復帰前後までよく作られていた。復帰に伴い和菓子や洋菓子が広まり、手間の掛かる伝統菓子は見なくなった」と説明する。
 
先代から直接作り方を教わったというこの道37年の安谷屋聡工場長(54)は、記憶をたどりながら型の再現に苦労した。「花びらの細工が難しい。毎日悩み考えて作っている」と話す。
 
同社の直営4店舗だけで取り扱っており、手作りのため1日50~100個の限定販売となっている。
 
王朝時代、日中両国の影響を受けた琉球伝統菓子は独自の発展を遂げた。文献には200種超の菓子名が残されているが、レシピの多くは王朝の滅亡や沖縄戦で失われている。

※注:千寿こうの「こう」は米ヘンに「羔」


琉球新報

無責任だ」「早く対応を」 不発弾未確認工事(沖縄)

無責任だ」「早く対応を」 不発弾未確認工事
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総合的学習の授業で、カヌーの川下りに挑戦する
久茂地小児童ら=6月、久茂地川(読者提供)
 
県が那覇市泉崎で進めている「久茂地川環境護岸工事」に関し、2009年に行われた磁気探査で不発弾の可能性を示す磁気反応があったにもかかわらず、確認探査を実施しないまま工事を進めていたことに、周辺住民からは「無責任だ」と批判の声が上がっている。人や物が集まる地域での出来事に、関係者は早期の対応を求めている。
 
毎年6月、4年生が総合的学習の授業時間に、カヌーで久茂地川の川下りを実施している那覇市立久茂地小学校(大城安司校長)の大城武教頭は「工事現場から不発弾の磁気反応が出ていることは全く知らなかった。知っていたら、工事現場周辺を通らないようなルートを設定していたか、川下り自体を実施しなかった」と驚きを隠せない様子。
 
同市泉崎でコーヒー店を営む上原健一さん(61)は「2年間も放置され工事を進めていたなんて、信じられない」と驚きをあらわにした。「真上にはモノレールが走っており、危ないどころじゃない。県庁も近くにある。那覇のど真ん中で万が一のことがあったらどうするのか」と県の対応を批判するとともに、早期の対応を求めた。
 
那覇市の新垣昌秀建設管理部長は「住民から不安の声も上がっている。県には住民への情報提供や確認探査をしっかりして、住民を安心させてほしい」と要望した。


  琉球新報

陸自部隊は北牧場に (与那国・沖縄)

陸自部隊は北牧場に 
防衛省の概算要求を「歓迎」

与那国町の外間守吉町長は4日午後、石垣市内のホテルで取材に応じ、防衛省が来年度予算の概算要求で同町に陸上自衛隊の「沿岸監視部隊」を配置するための用地取得費15億円を盛り込んだことに「歓迎する」と述べ、用地選定に町として協力する考えを示した。

 用地の規模について防衛省から15ヘクタール程度との説明を受けているという。
 
候補地として挙がっている町内の北牧場、南牧場について「出来れば北牧場にしてほしい」との意向を示した。南牧場については「台湾と向かい合うことになり、リゾート地として将来残したい」と述べた。

 また、今月中に防衛省と住民説明会を開き、用地やインフラ整備などについて住民の意見を聴き、優先順位を付けて防衛省に要望することにしている。
 
具体的なインフラ整備については、現在、焼却施設の整備を要望。このほかに公認グラウンド整備などが考えられている、という。
 
配備に反対する住民への対応については「ヒザを交えて話しが出来ればと思う。配置が決定したからには引き下がれない。説得に向け話をしたい」と述べた。


八重山毎日新聞

宙に浮く中学公民教科書 (八重山・沖縄)

宙に浮く中学公民教科書 文科省、県教委は早急に着地点示せ

■文科省が混乱に拍車
 中学校の公民教科書採択をめぐる動きが先月16日の国への報告期限を最後にこう着状態に陥っている。
育鵬社を採択した8月23日の地区採択協議会の決定と、東京書籍を選定した9月8日の3市町教育委員全員協議の決定に対し、中川正春文科相の発言が二転三転してぶれているためだ。
 
その点、県教委は、開会中の県議会でも改めて大城浩教育長が、「8日の全員協議こそが有効。これが八重山の総意」と答弁するなど、ぶれる文科相とは対照的にその姿勢は一貫している。それはそうだろう、全員協議は3市町教委がそれぞれ違った決定をしたのに対し、県教委として文科省の指導も仰ぎながら6時間の議論の末、ようやくたどり着いた結論だからだ。
 
それを中川文科相が恐らく地元のこうした経過の誤認、官僚の誘導、自民部会の圧力などがあったのか、それを簡単に否定。あとは両方協議は整っていないと発言を二転三転。一方で森裕子副大臣は当初から採択協議会が有効と述べるなど、文字通り文科省自体が“閣内不一致”状態を露呈するのだから混乱するのは当たり前だろう。
 
いわば八重山の教科書問題はまず玉津博克石垣市教育長の恣(し)意的な地区策定協議会運営に振り回され、今は文科省の一貫しない対応に混乱させられている状態にある。

着地点は見えず 
石垣市は独自に採択の意向も示すなど竹富町、与那国町の3市町教委とも自らの決定の有効性を主張したままこう着状態が続き、今のところ着地点は全く見えない。 
 
この間、市議会や県議会では同問題が与野党双方から取り上げられたが、解決の糸口は全くつかめなかった。その中で市議会一般質問では、与野党ともに揚げ足取りのやり取りが目立ち、市民から議員として品位を問われる苦情があったのは双方反省事項だろう。

 さらに玉津教育長に対しては、与党議員数人からもそのふんぞり返った議場内での不遜(ふそん)な態度や「調査員という名前の者ども」発言など、その言動に苦言があった。立派な教育者、改革者として評価されるなら、子どもたちの視線も視野に入れ直ちに改めるは改めるべきだろう。でないと逆に単なる“偽善者”といわれかねない。
 
この問題解決に向けて県教委は「全員協議の有効性」を主張して文科省の指導待ちの状態にある。
 
これに対し文科省も、中川文科相が同一地区内は同じ教科書を採択するという教科書無償措置法と、採択権限は市町村教委にあるとする地方教育行政法の兼ね合いで法解釈を詰め、最終的に結論を出す意向を示すも、それはいつかその目処や見通しは不透明だ。

■新たな枠組みで採択を 
確かにこのようにもつれにもつれた糸をほどくのは容易でない。それならこれまで両方の採択に関わった皆さんは総退場してもらい、今回は特例で委員を新たに選任、新しい枠組みで採択しなおすことは不可能なことなのか。その場合、委員の選任方法が課題だ。 
 
この問題では中立の公明の大石市議が、国、県、地元関係者が一つのテーブルについて対話の必要性を指摘していたが、確かに大切なことだ。特にこの問題はそうした勢力が地域を“狙い撃ち”しているふしも見られ、今後も起こりうる要素がある。文科省や県教委は、今回その欠陥が問題になっている法整備をきちんとして、ちゃんとした解決策を示さなければ、県内各地で今後も同じような混乱が予想される。


八重山毎日新聞

ライバル蹴落とせ、ミヤコヒキガエル繁殖シーズン (宮古島・沖縄)

ライバル蹴落とせ、ミヤコヒキガエル繁殖シーズン
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割り込もうとするオスを足蹴にして引き離そうとするメスに抱接したオス (右) =市内の溜め池

宮古諸島固有亜種のミヤコヒキガエルが繁殖シーズンを迎えている。 ふだんは陸棲だがこの時期ばかりはペアを求めて貯水池などに集まってくる。
オスはメスの背後から脇を抱えるようにしがみつきながら産卵を促す。 ここ数日の雨もあって市内の水辺では 「抱接」 するミヤコヒキガエルの姿が目立っている。

 体長は6~12㌢と国内のヒキガエルでは最も小さく、 体色は赤っぽいものから褐色、 黄色、 オレンジと変異がある。 畑地や原野、 民家の近くなどさまざまな場所に住み夜行性。 繁殖期は9月~3月と長く、 細長いゼリー状のひもに包まれた1万2000~1万4000個の卵を産む。
 
雨の上がった4日午前、 市内のある溜め池では繁殖のため数10匹のミヤコヒキガエルが集まっていた。 メスが少ないせいかペアに割り込もうと数匹のオスが群がって団子状態に。 メスを奪われまいと抱接したオスは強烈なキックでライバルたちを蹴落とし、 自分の子孫を残していく。
 
市の保全種となっているほか、 環境省のレッドデータブックでも準絶滅危惧種に指定されている。 この時期、 特に雨が降ると活発に動きまわるため輪禍も多い。 基本的には宮古にしかいない希少種であるため、 ドライバーの皆さんスピードは抑え目に。

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ミヤコヒキガエル
和名:ミヤコヒキガエル
学名:Bufo gargarizans miyakonis
    カエル目
分布:沖縄県宮古島や大東諸島に産する固有亜種
 
写真(上):ミヤコヒキガエル成体
説明
宮古島にはあまり森林がないが,疎林やサトウキビ畑などに生息する。産卵場所も少なく,集中している。生息地や産卵場所が人為の影響を受けやすい場所なので,今後,注意が必要である。区別店:大東島で混棲するオオヒキガエルとは耳腺の形が異なり,本種は普通のヒキガエルに類似する。

(森林総合研究所・森林生物図鑑)より


  宮古新報

孫が主役、尹吉の歌劇 与那原で公演(沖縄)

孫が主役、尹吉の歌劇 与那原で公演
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伊良波尹吉の孫さゆきさん(左)が、初めてのチラー役を熱演した「奥山の牡丹」=与那原上与那原、町社会福祉センター
【与那原】
与那原町出身の名優で劇や舞踊の創作でも後世に大きな業績を残した伊良波尹吉の生誕125周年を記念した歌劇「奥山の牡丹」公演が9月30日、町社会福祉センターであった。尹吉をたたえ、また県立郷土芸能会館誘致運動の一環と位置付けた。町などが主催。昼夜2公演に計約800人の観衆が訪れ、ゆかりの地で新世代が支えた舞台を、拍手と涙とともに堪能した。

 尹吉が創作した舞踊「加那よー天川」と「鳩間節」が披露され、華やかなムードに包まれた。

 「奥山の牡丹」は尹吉作で沖縄芝居の4大歌劇の一つ。今回長女の冴子さん(75)が演出、主役チラーは孫さゆきさん(29)が初めて演じた。

 さゆきさんは、前半の若いチラーを凛として演じ切った。一度は結ばれた三良と幼いわが子・山戸と離れざるを得ない場面では、客席からすすり泣きが響いた。最後に悲劇を迎える老いたチラーも、しっとりとしたしぐさで情感あふれ、観客を引き込んだ。

 他に仲嶺眞永さん、平良進さん、瀬名波孝子さんらが、ベテランの円熟味で存在感を発揮。三良役の佐辺良和さん、成長した山戸役の金城真次さんら若手も、時代の不条理を説得力ある演技で表現、会場に訴え掛けた。

 配役も担当し、20、30代の起用を心掛けた冴子さんは「客席からの反応がすごく良かった。大きい作品で若い人がどういう表現をしてくれるかと思っていたが、しっかりやってくれた。これからは後輩たちが引き継いでくれる」と手応え。さゆきさんの熱演には「これで3代目ができた」と喜んだ。

 大役に臨んださゆきさんは「祖父の作品を祖父の地元でできてうれしい。初のチラー役だったが、他のキャストやスタッフみんなに支えられ、お客さんに乗せられた」と感謝し、「祖父の素晴らしい作品を受け継いでいきたい。祖父を誇りに思う」と話した。

沖縄タイムス

ミーバイの走りに驚き (沖縄)

ミーバイの走りに驚き
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1日、西崎一文字でミーバイ72センチ、6・46キロ
を釣った翁長良治さん

1日午後5時、カーエー釣りの名手、翁長良治さんはカーエー狙いで西崎一文字に渡った。カーエー狙いのついでに、ユダヤーガーラの半身を餌にタマン狙いの仕掛けを投げ込んでいた。午後11時にいきなりのヒット。まるでガーラのような強い引きで、強めにドラグ設定したリールから15メートルほどもラインを引き出し暴れ回る。この引きはガーラだろうとファイトを開始、2~3分ほどで海面に浮いたのは6・46キロのミーバイ。結局この日は目的のカーエーは35センチ前後が1匹だけだったが、予想しなかった大物にベテランの翁長さんもミーバイがこんな走り回るとは、と驚いたという。

GFG沖縄・清掃活動
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2日、名護漁港周辺を清掃したGFG沖縄のメンバー

 2日、GFG沖縄のメンバーは午前10時から2時間、名護漁港を中心とした周辺海岸をメンバー約100人で清掃を行った。

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1日、西崎で35センチのアーガイ
を釣った中村峻君

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9月28日、慶良間で56センチ、2・5キロ
のイノーアカジンを釣った島袋祥一郎さん

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9月25日、ハンビー海岸で35センチ、600グラム
のマルコバンアジを釣ったさきはらせいがさん

 水辺感謝の日 
日本釣振興会沖縄県支部は10月16日に沖縄本島7カ所(名護漁港・沖縄市夢咲公園前・北谷町砂辺テラス・宜野湾新漁港・与那原町当添漁港・那覇北マリーナ)の清掃を予定していて、広くボランティアを募集している。詳しくは日釣振加盟各釣具店へ。

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9月27日、浜田漁港で41.8センチ、1.27キロのチヌを釣った田場典利さん(写真は息子ののりきちゃん)

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9月24日、糸満漁港で35センチのチヌを釣った南風原滉太君(左)と陸人君

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9月24日、座間味で51センチのタマンと45センチのトカジャーを釣った小田拓さん
 
 北谷の立ち入り禁止区域に侵入して、ごみを散らす釣り人がいると苦情がありました。マナーを守って釣りを楽しみましょう。
 (おきなわ釣王国社・仲栄真修)


  琉球新報

西表で史上最大の雨量記録 1時間あたり94.5ミリ (八重山・沖縄)

西表で史上最大の雨量記録 1時間あたり94.5ミリ 豪雨で海、空の便乱れる
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 石垣島地方は3日、大雨洪水警報が発令され、西表島上原で1時間あたり94.5ミリ(午後5時7分)、石垣島地方気象台観測史上最大の雨を観測した。
石垣市伊原間でも1時間あたり62.5ミリ(午前11時16分)と10月の最大雨量を記録。
24時間降水量では川平で362.5ミリ(午後5時20分現在)の大雨が降り、午前10時すぎには道路冠水で車両1台が水没する被害があった。

大雨は石垣島地方は大陸から高気圧の張り出しと南から湿った空気が入り込み、大気の状態が不安定になったため、午前10時16分には八重山地方に竜巻注意報が発令された。
 
石垣島と竹富町には午前5時すぎに大雨洪水警報が出され、一時解除されたものの午後5時36分には再度、発令された。
 
この雨で桴海地区の県道と大里の国道が冠水して一時通行止めとなった。また、真栄里ダムの貯水率は先週の39.0%から3日午後5時現在、91.2%に増え、一気に水事情が好転した。

 雨の影響で石垣空港を発着する空路は日本トランスオーシャン航空の石垣~与那国2便、琉球エアコミューターの石垣~宮古2便が欠航。304人に影響が出たほか、全日空で最大約50分の遅延もあった。
 
また、風が強いために波も高くなっていることから、石垣港と各離島を結ぶ航路のうち、石垣~西表上原、石垣~鳩間、石垣~波照間航路が欠航している。


  八重山毎日新聞