しまぬくんち、「紅とまと」農法　北海道で導入

有機・無農薬栽培にこだわった作物を生産販売する玉城克明氏（左）とハワイから研修に訪れているマイケル・ロジャースさん
＝４日、浦添市・大八産業

　化学肥料や農薬、除草剤を一切使わない有機農法に取り組む生産グループ「しまぬくんち」が独自ブランド「紅とまと」の栽培を北海道の生産者に技術指導・生産委託し、全国市場向けに出荷規模を拡大している。
夏場に県内で収穫できない分を北海道で栽培し、一年を通して出荷できる体制を整える狙い。
ハワイからも同グループの農法を導入したいという依頼があり、沖縄産の技術が国内外に広がりつつある。
（座安あきの）

　しまぬくんちは南城市や大宜味村、西原町、那覇市などの
３０人でつくる生産者グループ。

　乳酸菌をメーンにした５４０種類の高機能微生物を使い、トマトやオクラ、インゲンなどを栽培している。
本土の土壌よりアルカリ度が高く、作物が育ちにくいといわれる沖縄でも化学肥料や農薬などを使わず、微生物の働きで作物の生育や肥料吸収力を高める農法を確立。
３年以上化学肥料や農薬、除草剤を使わない農地で栽培した
作物であることを証明する「有機ＪＡＳ農産物」の認定を受けている。

　栽培作物の中でもフルーツのような甘みがある「紅とまと」は同グループの主力商品。１０年前から生産を始め、年々作付面積を拡大。現在県内の１０生産者が約６６００平方メートル、北海道の４生産者が約５千平方メートルの農地で栽培。ことしは両地域で計約３５トンを出荷する計画だ。

　沖縄のトマト収穫期は１２～６月の半年間で、夏場の出荷ができない。そのため、気候の涼しい北海道でも生産し、一年を通して県内外に出荷できるようになった。主に県内生産分の７割は本土に、北海道生産分のほとんどは県内で消費されているという。

ハワイから依頼も　
ハワイから研修に訪れているマイケル・ロジャースさん（３０）は、有機栽培や発酵学について学ぶ中で、しまぬくんちの農法に出合った。ロジャースさんは「ハワイは食料自給率が低いことが課題。島でおいしくて健康的な作物を生産できることを示し、ハワイの人たちに地産地消の大切さを伝えていきたい」と話す。

　しまぬくんちの運営を統括する大八産業（浦添市）の玉城克明専務は「おいしさで商品を選んでもらい、そこに安心安全がついてくることが理想。多くの生産者と技術を共有し、体にいい野菜を広めたい」と語った。

　しまぬくんちの商品は県内主要スーパーで販売しているほか、宅配サービスもある。

　　　問い合わせは
　　電話０９８（８７７）８６８６。

　　沖縄タイムス