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2009-08-15



Everytime We Say Goodbye


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所謂ジャズのスタンダードナンバーの中で、最も好きな曲。
「好きな曲ベスト10」の出入りは頻繁にあるが、ここ数年、第一位の座は不動。

メロディが大好きなのは言うまでもないが、一方で、実のところ、原詞の意味はまったく知らない。
にもかかわらず、勝手に、このような解釈をしている。

 「人生にお別れはつきもの。湿っぽくならず、また会う日を信じて、笑顔で「さよなら」を言おう」


「たま」に在籍していた頃の柳原陽一郎さんのソロアルバム『DRIVE THRU AMERICA』、
そのラストに収録されていた同曲の、やなちゃん流の妙なる意訳が残像になっているのかもしれない。

あるいは、『DAVE FRISHBERG & KARIN KROG』というタイトルの、
ピアノとヴォーカルの二人による、ホームパーティーのような雰囲気のインティメイトなライヴ盤。
こちらもラストに収録されていた同曲の後、穏やかな拍手がフェードアウトされていく中で聞こえてくる
「おやすみなさい」というMCから感じられる、その安らぎに満ちた温もりの名残りか。


もしかすると、本当の歌詞を紐解くと
「恋をしても、いつもお別ればかり。もう、恋なんてしない!」
などという、典型的なトーチソングだった、という可能性もあるが、
今のところ、あえて自分から紐解くつもりはない。


それどころか、私は、仏教的諦観、無常観などという、
およそジャズ的ではない観念を、この曲に投影してしまっているところさえある。
「いつも心にさよならを」という邦訳も、そんな想いを後押しする。


 コルトレーンの 『MY FAVORITE THINGS』
 チェット・ベイカーとポール・ブレイの 『DIANE』
 ナベサダさんの 『PAMOJA』
 ウォルター・ビショップJr.の 『OLD FOLKS』・・・・・


ひと頃は、この曲が入っているというだけで、そのCDを手にしたりしていた。
佐藤允彦さんはお得意のリハーモナイズで、前田祐希さんのヴォーカルとともに
幻想的な世界を描き出した。
ライアン・カイザーは・・・、そのアレンジはちょっと若気の至りかな、と思った。
ジューン・クリスティとスタン・ケントンを聴くには、私の方が若すぎた。



 ・・・・ここまで書いてきたことは、そのほとんどが、
 この12年の間に起こった、出会いや、出来事や、経験や、思索や、熟成の軌跡。



12年前の夏、私は、「いつも心にさよならを」というような達観した気分からは程遠く、
まるで「今生の別れ」とでも言わんばかりの寂寥感と激情を携えて、
COMBO に別れを告げに来た。


真夏の転勤。
引継ぎ業務と、引っ越し準備と、連夜の送別会で疲労困憊する中で、
そして、初めて九州を出て東京へ向かうという不安感の中で、
わずかな時間を作って、いつもの階段を上り、廊下を歩き、ドアの前に立った。
店内でその時、どんな曲が流れているか、外からでも分かるそのドアを開け、
いつものようにカウンター席に座った。

一杯目のジン・リッキーを、この日は一気に飲み干した。

カウンター上のノートに、三年間の思い出を、何とか1ページに押し込めて書き綴った。
時折、残業中に職場を抜け出して、思索に耽ったソファ席に腰を下ろしてみたりもした。
そして、この店で初めて、「ワーム入り」で飲んだテキーラを、もう一度、最後にオーダーする。
アーマッド・ジャマルのPoinciana が流れていたような気がする。

意を決したように席を立つ。

その時にはもう福岡にいない日付の、ライヴのチラシが貼られたドアを開け、
たぶん何度も振り返りながら、狭い廊下を一歩ずつ進み、階段を降り、
そして、東京へとつながる外界の喧騒の中へと、軽い酩酊とともに、力なく、歩き出したように思う。
1997年7月の、鮮明な記憶。



そんな12年前の自分に、12年前の自分が確かにいたその店に、
久しぶりに会いに行った。

COMBO へ、本当の「さよなら」を言うために。
1967年からの歴史に幕を閉じる日の、その一日前に。



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   17:00の開店を外で待つ。夏の往来に、打ち水の涼。


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   迷路のような階段も、廊下も昔のまま。ドアの外まで聴こえてくる音の出迎えも。


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   ジン・リッキーを、今日はゆっくりと味わう。


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   ラムを飲み・・・・ テキーラを飲み・・・・
   店内を慈しむように見渡す、いくつもの目線が、時に交錯する。


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   「"何とかローズ"というキープがあったはずだが・・・」と言いながら、老紳士が隣に座る。
   無事にFOUR ROSES と再会できたようで、よかった。


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   ソファ席では同窓会のようなグループが、昔話に花を咲かせていた。
   「マイルスの「WORKIN'」のA面」という、昔懐かしい、慎ましやかなリクエスト。
   「It Never Entered My Mind」に瞑目し、耽溺。


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   レモンハート・・・・
   感傷に浸って飲みすぎる、My Foolish Heart...  


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   約1時間半の後、酔い醒ましのエビス生・・・・ 
   これで、ラストオーダーにする・・・・


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   ん? 昔はいなかったはずの、見覚えのあるウチナーンチュ(since 2001)が天井に!?


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   私の手元にも、同じゴーヤーマン。
   (お笑い米軍基地と、ハブデービル親方も)
   この店と私の上を、同じ時代に、間違いなく沖縄が去来している。


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   尊敬する先代・平八郎さんに、クエルボ・テキーラで献杯。
   二代目・ミッキーとともに、NEW COMBO でこれからも歴史を刻ませていただきます。

   ライヴの後、観客以上に感激した声で、ミュージシャンへの賞賛の言葉を述べておられた姿を
   いつまでも、忘れません。


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    ありがとう・・・・



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   夜の帳につつまれた街へと歩き出すつもりだった。

   真夏の午後7時は、酔いと追想とスイングに浸るには
    ちょっとばかり明るすぎた。

   On The Sunny Side of The Street を口ずさむには
    街も、身も心も、黄昏れすぎていた。



2009年8月15日 25:00

あと1時間ちょっとで、福岡のジャズの歴史がひとつ、幕を閉じます。
宴は朝まで続くことでしょう。
さようなら COMBO ...since 1967

    Thanks For The Memory... All Night Long... 
         and... Everytime We Say Goodbye...


2008-12-19

キーブルダッチャー JAZZ

 12月18日(木) 福岡市 New Combo
  奥村和彦 TRIO with 小濱安浩 & guest 鬼塚正男

 「十三の秋」から熱愛中のジャズ。
 その中でも私が「至上の愛」(Love Supreme)を捧げる男たちが、今年も冬の福岡を熱くしてくれました。

 今日は写真たっぷりで。

 
 
  奥村和彦 OKUMURA Kazuhiko (Piano, Leader)

 
  安東昇 ANDO Noboru (Bass)

 
  伊藤宏樹 ITO Hiroki (Drums)

 
  小濱安浩 KOHAMA Yasuhiro (Tenor & Soprano Sax)

 
  鬼塚正男 ONITSUKA Masao (Guitar) from NYC
 






 あがっ、奥村さんのお顔のアップ写真がなかったですね。
 ご興味をもたれた方、ぜひ、CDをお買い求めください。もしくはHPを。 

 まだまだ、頭の中が至福と興奮のアチコーコーなので、ライヴの感想は後日書きましょうねぇ。

 そろそろ、長駆移動した都城でのライヴが始まる時間ですね。

 ところで、「海で獲れたものなら何でも食べる」と豪語した(いや、私が無理やり言わせた?)ので、喜んでお勧めした「エラブパワー」(比嘉製茶)。イラブー粉末のタブレットですね。伊藤ぴろきくん、大丈夫だったかな?イラブー、効いたかな?酒と一緒に服用しても May Be No Problem..... Anyway ちばりよー!

 
:**:今日の一枚:**:
「FIRE LAND/奥村和彦」
 これまた、詳細は後日。「私の人生を変えた10枚」とかいう話題で詳しく書きたいです。
 とにかく、でーじ上等。ふつうじゃない上等。
 「FIRE LAND」=火の国=熊本。
 福岡の「もつ鍋」とNYCのエナジーに育まれた肥後もっこす、奥村和彦が、偉大なジャズレジェンドへの敬愛と、仲間たちとの切磋琢磨の軌跡を詰め込んだ入魂の作品。
 ウッドベースの弦をぶち切る豪腕ベーシスト安東昇と、北の大地と海の幸が育んだ道産子ドラマー伊藤宏樹。
 長年のツアーで培った鉄壁のバンドサウンド、変幻自在にして日進月歩のオリジナリティ、脳幹から手足の指先まで全身に響き渡る音圧。芸術はガチンコだ!
 エイサーに血が騒ぐ、男気溢れるウチナーンチュの皆さまにもお勧めします。

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