2012-01-28

うちなーバス旅情 車窓景 平良湾

   
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     田港から乗ったバスは、塩屋湾の奥へ、やがて、大保大川の蛇行から徐々に外れて、
     所謂「STライン」の上を、南東へと走る。

     飛び飛びに停留所はあるのだが、乗降客もなく、
     ひた走るバスに、谷間の奥深くへと分け入っていくような錯覚さえ覚える。
     川筋のマングローブ林のように見えたのは、何かの畑の見間違いだったか。
     
     73番系統。
     名護と高江とを、一日に3往復する。



     道中、頑ななまでにバスで移動をするのは、
     ほぼ毎朝、前夜の酒が残っているという、如何ともしがたい事情もあるのだが、
     それよりも、車窓から見る風景の、その一瞬たりとも無駄にしたくない、
     そんな想いに駆られているからでもある。
     すべての旅程を歩けたならば、それこそ本望なくらいだ。



     そんな車窓の風景に向き合うために、あたかもその地を歩くが如く、予習もして行く。
     地図は頭に入っている。
     地形はかなり思い浮かべている。

     なので、谷間に分け入っていくという錯覚の先には、
     やがて、東海岸の海が広がることは十分に予想している。

     運転席越しに、正面に、平良湾を望む。 
     そして、バスが左折し、湾を右手に見ながら県道70号線を進むのを見越して、
     最初から右側の席に座っている。



     首を右斜め後ろに向ける。

     泡瀬で見たのと同じような、細長いアンテナ塔を認め、
     そこが慶佐次通信所であると分かる。
     ということは、その向こうに伸びるのが天仁屋崎。

     今いる場所を辿るための3万分の1縮尺の道路地図をめくり、
     本島の北半分を網羅する20万分の1の広域図に目を移す。
     辺野古、慶佐次、そして、この後向かう、高江。

     人間も、暮らしも、自然も、文化も、論理も倫理も法理も度外視して無理矢理に、
     辺野古に引かれたV字の滑走路の図面から、まっすぐ一直線。
     まっすぐ飛ぶかどうかも怪しい機体。
     伊江島も目に入る。
     広域図はキャンプハンセンで切れている。



     それがわかって、どうなる?
     わかったから、だから、どうする?

     自分が自分に問いかける。
     自分の声がする。

     考え込んでしまうこともあるから、考えごとをしながらの車の運転は危ないから、
     そういう如何ともしがたい事情もあって、どうしても、バスになる。



     日曜日の午後、浜で遊ぶはこの土地の人々か。

     首をかなりきつく、右斜め後ろに向けたのは、
     あっという間に走り去る近景を、その姿を振り返り、しっかりと見ようとしたから。 



     その土地の暮らしのことは、地図でも地形でも、読めない。
     ふたたび、窓の外を、じっと眺める。
     左側の窓の外も。
     考えるよりも、できうる限り今、暮らしを見る。


-2011/10/16 東村 平良~川田付近-


 
category2011 沖縄旅日記③ 秋  time23:55  authorKohagura Erio 

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