2010-05-19

うちなーバス旅情 107番・108番

  
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     午後3時過ぎ、「糸満市場前」から乗った108番のバスを降りたときは、
     午前に訪れた「轟の壕」のことも想いながら、
     さらに、これから南の果てへと向かおうとする道を想いながら、
     喜屋武岬までの道が描かれた地図と、目の前の光景とを交互に見ていたので、
     その光景の中にあった、このお店と、その看板は目に留まらなかった。



     陽も傾いて、どぅしぐゎーとの出会いがあったりした喜屋武岬からの戻り道、
     ニンジン畑や、古い石敢當や、書道教室の窓一面に飾られたワラバー達の習字や、
     石壁に長く伸びる自分の影など、「今」を歩く中で、何もかもが穏やかに映る目には、
     このお店と、その看板は、この集落の「守礼門」であるかのように飛び込んできた。



     時刻表を見ると、糸満へ向かう107番のバスはしばらくなかった。
     小波蔵か名城あたりまで歩けば、82番も走ってくるかもしれない。
     時間にしばられない、ゆったりとした夕暮れ時。

   
     そんなゆったりとした時間と、西日だけに満たされた広場。


     このお店で、便箋と封筒を求めて、広場のどこかで手紙をしたためるのもいいが、
     おそらく、隣の郵便局の窓口はもう閉まっている。


     いや、そんなことは後から考えた理屈であって、
     実のところ、目は「さしみ」に釘づけだった。


     それなのに、「さしみ」を求めて、この店を訪れなかったわけは、
     ビールを売っている気配がなかったから。
     ビールがあったとしても、店の前のベンチのカップルのゆんたくが終わりそうになかったから。

     そして、喜屋武岬で出会ったどぅしぐゎーと、糸満で飲むという約束を交わしていたことを、
     その時間が迫っていることを、西日に光る腕時計が告げていたから。


-2008/3/20 糸満市 喜屋武-


 
category2008 沖縄旅日記  time23:58  authorKohagura Erio 

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