2010-02-09

旅立ち前の宿想い(後編)

 
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  山巓毛の向こうから日が昇る頃、階段を軽やかに駆け下る。

   「毎日、楽しそうに出かけて行かれてましたねぇ」

   「そうでしたか?まちぐゎーで朝ごはんを食べて、あちらこちら、歩き回っていました」

  楽しそうに見えたのは、たぶん、朝ごはんのことを考えていたから?

  最後の日まで、宿のおかあさんとは、
  一日中歩き回っていた、糸満の戦跡巡りの話はしなかったように思う。

  沖縄で最初に、長くお世話になった宿。
  沖縄の方と面と向かって戦世の話をすることに、まだ、逡巡があった頃。

  でも、到着した日の朝、いきなり、泥だらけのジーンズを洗濯させていただく照れ隠しに、
  富盛のシーサーを見てきたとき、石段で滑りこけた話くらいはしたかもしれない。  

  地図帳を広げて、一緒に、おかあさんの生まれ故郷を探したりもした。




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  沖縄で最も気持ちのよかった洗濯だったかもしれない。
  自分では何もしていないのだが・・・。

   「そのまま置いてていいよ。洗っておいてあげるから」

  「すぐに戻ります」と奥さんに伝え、
  二日酔い解消のためにうっちん茶を買いに行く、朝の軽い外出のはずが、
  つい、ふらふらと、思いもかけない遠出となってしまった。
  いつの間にか、読谷の太陽は天高く上っていた。

  宿に戻って急いで干そうと思っていた洗濯物は、
  すでに、テラスで風になびいていた。

  読谷補助飛行場跡で天日干しになりかけた私と同じように、
  洗濯物もきれいに乾いていた。

  見晴らしのいいテラスでひと休みする。
  たった今、また新たに、汗だらだらになったTシャツを脱いで、
  2月とは思えない太陽と、海から吹き上げる風を身体に浴びたいとも思ったが、
  汗だらだらの元凶であるビール腹のシルエットが、それを思いとどまらせる。

  
  前日に、あのガマを体感したことさえ、一瞬、忘れそうになるような穏やかな午後。
  そんな、眩しい陽光の中で、生きていることの歓びを覚える瞬間に、
  敢えて、あの暗闇とのコントラストを想う。

  過去を忘れずに、そして、こんな瞬間がずっと続くのが当たり前であるようにすることが、
  大切なのだと心に刻む。


  奥さんの淹れる、モーニング・コーヒーがまた飲みたくなった。
  「憩いの間」の、甕や瓶の中で時を刻んだ特製の古酒(特に長命草入り)を飲みながら、
  夜更けまで語らったり、早起きして数々の本を手に取ってみたりしたくなった。
  「さばに」のみんなは元気かな。

  次は、道に迷うことなく辿り着けると思う。


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ずっと仲良くしてくれていたのに・・・



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    スーパーで買ってきたパパイヤイリチーを分けてやらなかったからって・・・
    そんな目で見るなよ・・・





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  "STONE" のウェブ・アルバムに写っていた、「コザの宿」の遠景。
  そして、おばぁ、カンカラ三線、食卓、「中乃湯」の暖簾。
 
  そんな写真だけを頼りに見つけた宿に、お世話になってみるというのも面白い。

  ウェブ・アルバムのおばぁの写真には、
  「已經很自然的面對鏡頭了」というコメントが付されていた。
  ネットの中日翻訳サイトは、
  「すでにとても自然なのはシーンに直面しました」??と訳してくれた。
  まあ、「自然な笑顔」といったところか。写真を拝見すれば一目瞭然。

  台湾から自転車旅行で沖縄を回っていた"STONE" と、
  読谷村で「英語ゆんたく」した話は前にも書いた。
   2009-09-26 ゆる~り読谷(1) 2009-10-01 ゆる~り読谷(2)

  後日、彼のウェブ・アルバムを見て、無事にコザに着けたことが分かって安心した。
  そして、彼が泊まった宿を、一年後、今度は自分が訪れる。

  コザの中心部から少し離れただけで、
  嘉間良という街は、農連市場があったり、銭湯があったりして、
  緩やかな時間の流れを感じる。


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  「まずはお茶でもどうぞ」というお言葉に甘えて、
  居間におじゃまして、さっそくゆんたく。
  カニエステルという、初めて食べる果物をいただく。
  (カタカナが苦手な私は、「カニがエステしてる」と記憶する)

  「それじゃ、明日は運動公園まで一緒に行こうかねぇ」というお言葉に甘えて、
  翌朝、路線バスが動き出すよりも早い時間に、おばぁの運転する車で、県総合運動公園へ。
  おばぁ、80歳。
  運動公園のウォーキングが毎朝の日課とのこと。

  泡瀬干潟の、干拓事業の現場を歩いてみるという私のためだったのか、
  おばぁは途中、米軍泡瀬通信施設のゲートの前に車を停める。

   「わざわざ海を埋めなくても、この土地を返してもらえばいいだけさぁ」

  数時間後、運動公園から海岸沿いを歩き、再び、ゲートの前に立った私は、
  おばぁの言葉を噛みしめる。

  おじぃ、おばぁの言うことが正しいというのは、沖縄に限った話ではないと思う。


  「おばぁには、今回、また、お目にかかります。
  前回は休業日だった「中乃湯」で汗を流して、今回は、夜も宿でのんびりします。
  また、ゆんたくしましょうね。

  翌朝は始発のバスで平敷屋まで行って、勝連城まで歩こうと思っています。
  昼までには戻ります。
  晴れることを祈っています。

  ・・・勝連ではちょうど、『肝高の阿麻和利』の卒業公演が行われている頃ですね」

-Special Thanks-
 旅の宿 松乃屋さん(糸満市)
 民宿 何我舎さん(読谷村)
 民宿 嘉陽荘さん(沖縄市)
                                           (宿泊順)

 
category沖縄旅まんちゃー  time22:56  authorKohagura Erio 

Comments

あーちゃん wrote:

はいたーい
元気?あーちゃんです
来週沖縄来るんでしょう
お母さんと一緒に待ってるからね〜
いつも写真や手紙ありがとうね
奥さんにもよろしくね
じゃあね?
2010-02-11 time20:31

Kohagura Erio wrote:

あーちゃんさん はいささいさ~い!
はい、またおじゃまします。
温かくなったり寒くなったり、沖縄も気温の変化が大きいですね。
皆さん、お変わりないですか?
私も毎日、沖縄の天気とにらめっこです。

今度は一人だから、ばんない飲めるのですが、
初日(15日)は、翌朝7時のフェリーで本部~伊江島に向かう前夜なので、
寝坊しない程度に飲みます。でも、しっかり食べますよ~。
次の週末に那覇に戻るので、また、22日にも顔を出します。
それでは!
2010-02-12 time01:10

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