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この見事な造形によって
「カラスがパパヤーに、寄りつかないわけよ」
機知と 謙虚な英知と 万物への隣人愛とを基調とする 手づくりの
わったー家の 専守防衛



目覚めゆく朝を 歩かせていただく
時の流れより ゆっくりと
風の音より 静かに 波の音より 穏やかに
やがて消える足跡のほかは 残さぬように
安寧を わかち合うために
-Inspired by-
『写真記録 人間の住んでいる島』 阿波根昌鴻
ウッカーガマを訪れたのは前年の夏。
地中でつながり、近くに壕口があるはずのウンジャーガマはこの日も、
見つけられない。
道路を歩く。
畑の中の小路を歩く。
繁みの奥の暗闇の、入り口まで降りてみる。
地図と方角を突き合わせる。
一度歩いた道をもう一度、反対側から歩いてみて、目線を変える。
それでも、見つからない。
しばらく歩き回って後、こう思う。
この地を、こうやって、探し歩いただけでも意味があったのではないか。
壕の場所は特定できなくとも、
「こういう場所」であったということを知っただけでも。
戦世はガマの中だけではない。
地上もすべて、戦場。
「こういう場所のあらゆるところ」で、起こったことを想像してみるしかない。
しかし、その思い、自分を納得させる考えをすぐに、打ち消す。
ガマを探し歩いて、見つからなくて、そして、あきらめる。
あきらめて、また、平穏な日常に帰っていく。
地上の光を存分に浴び、空を見上げ、風を感じ、
かすかなのどの渇きを覚え、きれいなタオルで汗を拭き、
一時間後にいるであろう場所を頭の片隅に置いて、
いくつかの場面にカメラを向けるとき、心が張りつめたとしても、やがて、
その撮った写真をだれに、どのように見せようかなんて考えながら、
ゆっくり歩いている、旅のひとこま。
そこに死の影は、恐怖は、ない。
地上を歩きながら、「起こったことを想像してみる」意識は、
希薄にして、つかみどころがない。
ガマの暗闇に戦慄するか、墓標に跪くか、身の危険に恐怖するか。
語り部に出会い、人間と人間として、向き合うか。
そういうかたちでしか、近づけないのか。
それでも。
せめて、小さな花に、祈ることだけでも。
せめて、壕口から漂い出る冷たい空気の流れを感じるだけの、心の静謐を。
天然の奥深く 進むほどに
研ぎ澄まされていく五感と 安らいでいく心
ひとつひとつ 小さないのちの気配と向き合うほどに
一歩一歩 この世界のひとつになっていいのかな
静寂は通奏低音
風のハーモニクス 葉擦れのカデンツァ
虫たちが微かに騒ぐピアニッシモに耳を傾けながら
歩みはやがてリタルダンド
足音は控え目なオブリガート
2016-12-21
二見以北10区を歩く(14) 機知のある島
この見事な造形によって
「カラスがパパヤーに、寄りつかないわけよ」
機知と 謙虚な英知と 万物への隣人愛とを基調とする 手づくりの
わったー家の 専守防衛
-2014/3/14 名護市 二見-
2016-12-16
二見以北10区を歩く(13) 人間が暮らす島
目覚めゆく朝を 歩かせていただく
時の流れより ゆっくりと
風の音より 静かに 波の音より 穏やかに
やがて消える足跡のほかは 残さぬように
安寧を わかち合うために
-2014/3/14 名護市 安部-
-Inspired by-
『写真記録 人間の住んでいる島』 阿波根昌鴻
2016-06-16
戦世を訪ねて 2008~2015
ここがウンジャーガマなのだろうか
ウッカーガマを訪れたのは前年の夏。
地中でつながり、近くに壕口があるはずのウンジャーガマはこの日も、
見つけられない。
道路を歩く。
畑の中の小路を歩く。
繁みの奥の暗闇の、入り口まで降りてみる。
地図と方角を突き合わせる。
一度歩いた道をもう一度、反対側から歩いてみて、目線を変える。
それでも、見つからない。
しばらく歩き回って後、こう思う。
この地を、こうやって、探し歩いただけでも意味があったのではないか。
壕の場所は特定できなくとも、
「こういう場所」であったということを知っただけでも。
戦世はガマの中だけではない。
地上もすべて、戦場。
「こういう場所のあらゆるところ」で、起こったことを想像してみるしかない。
しかし、その思い、自分を納得させる考えをすぐに、打ち消す。
ガマを探し歩いて、見つからなくて、そして、あきらめる。
あきらめて、また、平穏な日常に帰っていく。
地上の光を存分に浴び、空を見上げ、風を感じ、
かすかなのどの渇きを覚え、きれいなタオルで汗を拭き、
一時間後にいるであろう場所を頭の片隅に置いて、
いくつかの場面にカメラを向けるとき、心が張りつめたとしても、やがて、
その撮った写真をだれに、どのように見せようかなんて考えながら、
ゆっくり歩いている、旅のひとこま。
そこに死の影は、恐怖は、ない。
地上を歩きながら、「起こったことを想像してみる」意識は、
希薄にして、つかみどころがない。
ガマの暗闇に戦慄するか、墓標に跪くか、身の危険に恐怖するか。
語り部に出会い、人間と人間として、向き合うか。
そういうかたちでしか、近づけないのか。
それでも。
せめて、小さな花に、祈ることだけでも。
せめて、壕口から漂い出る冷たい空気の流れを感じるだけの、心の静謐を。
-2014/3/19 糸満市 糸洲-
2016-04-07
琉球の道
知念グスクの下 ウファカルへの径
天然の奥深く 進むほどに
研ぎ澄まされていく五感と 安らいでいく心
ひとつひとつ 小さないのちの気配と向き合うほどに
一歩一歩 この世界のひとつになっていいのかな
静寂は通奏低音
風のハーモニクス 葉擦れのカデンツァ
虫たちが微かに騒ぐピアニッシモに耳を傾けながら
歩みはやがてリタルダンド
足音は控え目なオブリガート
-2014/3/17 南城市 知念知念-