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2016-06-07



戦世を訪ねて 2008~2015

  
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生き残ったフクギ 隣は慰霊之碑 (古堅のウガン)





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よみがえったデイゴ(旧古堅国民学校・青年学校・尋常高等小学校)




  最近、国頭愛楽園の所謂「日戸収容」(1944年)について調べていたとき、
  旧日本軍・第24師団野戦病院と、同師団輜重兵第24連隊第5中隊が、
  この地に駐屯していたことを知りました。
  現存するものが極めて少ない、「陣中日記」が残されたことによって。


-2010/6/27 読谷村 古堅-



≪参考文献≫

 「生き残ったフクギ」及び「よみがえったデイゴ」という呼称などについては、『読谷村の戦跡めぐり』(『読谷村史』第五巻資料編4 「戦時記録」関係資料集 第2集)読谷村史編集室(2003)を参照させていただきしました。




2014-06-14

よんな~よんな~歩きなさい

   
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ちょっと 休んでいきなさい





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そんな声に寄り添うような 旅をしたい




    気根の呼吸に あわせてみる
    息吹 気配を 感じてみる
    香りは記憶に 深く

    切り取る一瞬なんて 考えない
    息をするように


-2010/6/26 糸満市 束里-



2012-06-25

ただそれだけの記憶

    
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    真夏の午後。


    大湾から比謝橋へと至る国道58号線。
    長い下り坂が続く。
    車の往来は激しい。

    そんな場所を歩いているとき、意識は今、この瞬間だけに閉ざされる。
    過去や未来に想いを致す余地のない、アスファルトの道。
    そして、猛烈に暑い。
    アスファルトは白く光り、熱風が直線に舞う。

    次の目的地を屋良ムルチにするか、嘉手納基地のフェンスにするか、
    それとも、北谷の漁港での休息にするか、茫漠と考えながら、歩く。


    対向して、坂を登ってくる人影がはっきりと見えてくる。
    真夏の炎天下、ほかに歩道の人影はない。
    真っ白に光る、広すぎる歩道。

    やがて、その人影が、老婦人であるとわかる。

    日傘を持っているのだが、それを差すことなく、杖がわりに使っている。
    つばの広い帽子だけが日光を遮って、小さな影を付き従える。
    真っ白に光る歩道の上で、そんな影さえも霞んで見える。

    二人の距離が近づくにつれ、その老婦人の足取りが、
    そして、この炎天下、どこへ向かおうとしているのかが気にかかる。
    下り坂を、あごを出して、口で息をしながら歩きながら、
    上り坂を歩いてくる老婦人のことが気にかかる。

    この暑さの中、大丈夫か。
    そして、この暑さの中を歩いていること自体に、胸騒ぎがする。
    目的地を分かって、歩いておられるのか。

    二人の距離は、その表情を読み取れるまでに近づく。

    すれ違うとき、礼節ではなく、胸騒ぎに促されて、あいさつをする。


     「こんにちは、お暑いですね」

    老婦人は私の顔を見つめ返す。
    笑顔はない。
    むしろ、動揺や悲嘆さえも思わせるような眼差し。

     「あなた、お名前は?名前は何というね?」

    老婦人からの予想外の問いに、しかし、まっすぐに答える。

     「・・・ごめんねぇ、あなたの顔、忘れてしまったさぁ。だれだったかねぇ・・・」

    老婦人は、おぼつかなくなることを怖れる記憶の中に、
    私の名前と顔を探そうとしたらしい。

     「あ、いや、私は旅行でおじゃましている者で、今日、初めてお目にかかるんですよ。
      ・・・驚かせてごめんなさい」

    老婦人の表情が変わる。
    安堵や合点を通り越して、その表情には威厳さえ漂う。

     「旅行?どこまで行くか?」

     「嘉手納を通って、北谷まで・・・」

    嘉手納ロータリーからはバスに乗るつもりであると、そんな言葉を継ぐ間もなく、
    老婦人の声は力強さを増す。

     「はぁっさ、北谷まで。日が暮れるよ。もういいから、早く行きなさい」

    思いもかけぬ心遣いに、ごもっともと謝辞を述べて、別れる。

     「どこまで行くのですか?お宅は近いのですか?暑さに気をつけてくださいね」

    そんな言葉を掛ける間もなく、老婦人はもう、歩き始めていた。

    たった今、自分が下ってきた坂道。
    この坂道を、このままずっと上って行くのだろうかと、何度もその後姿を振り返る。
    やがてその後姿は、陽炎の中に、小さくなる。




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    午前中、嘉手納町水釜の住宅地から歩き始めて、
    比謝川沿いを上流へと向かい、比謝川大橋を渡って読谷村に入る。

    読谷村の古堅集落を歩き、戦前と戦中の記憶を辿る。
    そして、午後2時過ぎに、国道58号線の大湾交差点に出た。

    南下して、ふたたび嘉手納町を目指す。
    比謝橋で、吉屋チルーの時代と戦世が交錯する。

    嘉手納町に入ると、そこはアメリカ世。
    いや、読谷村にいる間もずっと、通奏低音のような轟音が遠くから響いていた。
    日曜日は、原則として、飛ばない。
    日曜日は、しかし、地上での整備は行う。
    カデナのフェンスの中で、エンジンは回る。

    大湾交差点の看板が、日米地位協定下のアメリカ世を糾弾する。
    昔、歩いたことのある、楚辺の農道でのひき逃げ事件。



    一日の中に、一日の中のほんの数時間の中に、
    さまざななことが去来する。

    そんな道行きの中のほんの一瞬に、
    知識や思考ではなく、その瞬間の全人格を以って向き合う、一期一会がある。

    真夏の太陽の下の、取りつく島のない風景の中で。





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    数時間の後、北谷町浜川の漁港で、ニライハーリーの表彰式で、
    初めて見る、ようやく会えた「しゃかり」のステージに心ときめかせ、心躍る。

    一日の中に、一日の中のほんの数時間の中に、
    こんな素晴らしい時間も訪れる。


    こんな時間の中、原則として飛ばないはずのC-135が、
    午後の太陽で銀色の光になりながら、祭りの上を飛び去った。





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    午後7時、祭りも終わって。
    夕景の先に思い出す、懐かしい顔もあった。


-2010/6/27 読谷村 比謝矼 ~ 北谷町 美浜-


-Special Thanks-
   「なかよしラジオ」パーソナリティ 知念だしんいちろうさん
    (FMとよみ 83.2MHz)

     尺を考えずに語れば、こんな一日の中の、こんな出来事でした。


2012-06-21

語られ部(かたられべ)に会いに行く道

    
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     道もなく 草木までも傷ついた 隆起珊瑚礁の岩肌の上を
     昼も夜もなく 口にするものもなく やがて望みもなく 彷徨した果てに
     乙女たちの命が尽きた場所へ

     今 通いつづける人たちの踏み跡が つつましやかな道をつくっている

     岩肌をつかむこともなく 草に足を取られることもなく
     16名の学徒・教員の名が刻まれた ひめゆり学徒散華の跡へと至る



     その一歩一歩は 彼女たちへとつながるとともに
     その一歩一歩は また あるいは
     別のだれかの 「見えない墓標」の上なのかもしれない
     別のだれかが 最期に見た景色なのかもしれない

     語り継がれる彼女たちの生涯は こんなふうに
     同じ時代を生き 同じような命運を辿った多くの人々のことを
     同じ景色の中に思い起こさせてくれる



     生きて語りつづける 語り部
     死して語られつづける 語られ部

     生きて 死して 語れない人々のために


-2010/6/26 荒崎海岸(糸満市 束里)-


     ■ 2010-07-26 語られ部(かたられべ)


2012-06-06

ちっぽけな存在になってかんがえる

    
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なにもかんがえていない




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なにもかんがえられない




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ちっぽけなひとりとひとり ふたりぼっち



-2010/6/26 糸満市 山城~荒崎海岸-



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