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2010-07-15



お誕生日

     
     
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あめあがりのあさ




     ワラバーの時分から、ずいぶん多くの公園で遊んできました。
     公園ではない場所でさえ、公園になりました。

     ある時はスタジアムになり、ある時は秘密基地になり、ある時は刑事事件の舞台になり、
     昆虫博物館、秘宝のオークション会場、土木工事の現場にもなりました。


     年を重ねるにつれて、いつの頃からか、公園は、
     ひとりで物思いに耽る場所へと変わり、
     ふたりで待ち合わせ、語らう場所へと変わり、
     大人数で酒を飲み、高歌放吟、徹夜談義をする場所へと変わり、
     そして、人生の節目節目で、公園はまた、
     ひとりで物思いに耽り、ひとときの憩いを求める場所になって、迎えてくれました。



     そんな縁を結んできたたくさんの公園の中で、
     誕生日を祝うことができる公園が、
     古今東西、ただひとつ、那覇市にあります。

     那覇西児童公園。
     昭和48(1973)年7月15日開園。

     「開園」という言葉さえ不似合いなような、慎ましやかな、静かな、小さな公園。



     そんな公園で、ここ数年、
     ひとり物思いに耽ったり、旅先のひとときの憩いを求めたりして、時間を過ごしています。
     あたかも、那覇でいつもお世話になっている宿の、中庭であるかのように。

     洗濯機が回り終わるのを待つ、ちょっとした空き時間。
     どうしようもなく朝早く目が覚めてしまって、何をするでもなく夜明けを待つ早暁。
     飲みに行く浮かれた近道、飲んで帰る千鳥足の帰り道。
     マヤーに遊ばれている朝。
     セミの幼虫と人生を語らう深夜。
     お昼寝中のおじさんをスーミーする昼下がり。


     私がこの公園で時間を過ごすのは、
     そんな風に、夕刻から深夜、または、深夜から早朝という時間帯が多いのですが、
     ごく稀に、まだ日の高い午後に、ガジュマルの木陰に近いベンチで、
     心地よい眠気に誘われながら、とぅるばっていることもあります。
     昼間のあまくま歩きに疲れ果て、でも、夜の部も存分に楽しみたいという日などに。

     そんな時は、お決まりの「さんぴん茶」ではなく、ちょっとおしゃれに、
     沖縄ボトラーズの「ピーチ・ウォーター」などを片手に。
     喉を潤おす前に、しばらく、よく冷えた缶をうなじに当てたりしつつ。



     もしも、真っ昼間に、チルダイ状態で突っ立っていたりするならば、
     それはきっと、チェック・アウト間近の、万感の想いのひととき。



     今の世、先延ばしにしたいのはフライトの時刻。

     37年前は、出港の時刻までのひとときを、
     那覇港に近いこの公園で過ごす人の姿などもあったのでしょうか。




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あさ



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かたぶい



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ぴーかん



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にーぶい







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雨もあがって 少しずつ



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夜が明ける 水がひく 酔いが醒める 腹がへる
 





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このガジュマルは



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公園とチルミーなのだろうか






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真夜中と朝とでは距離感を変えるだなんて 思わせぶりなやつだ






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この木のベンチが大好きなのだが 寝ることはない 目の前が宿なので





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旅立ちの朝 「まだ五時間もあるじゃないか」と強がってみる




-Special Thanks-
  民宿 グリーンハウス(那覇市西2丁目)



  (シーブン)

   「にーぶい」おじさんの写真に付した散文は、
   2009年 7月 5日の「午睡の達人」を、後日、推敲してみました。



2010-05-27

沖縄には坂がある

      
    平面の地図を眺めて 平坦な道程を思い描いて
    沖縄を歩き始めてみると
    道程のあちらこちらに 坂がある
    思いがけないところにも 坂がある

    上るだけなら まだがんばるが
    上って下って また上るなんて坂が
    坂の向こうで待っていたりもする

    歩いてみて初めて その土地を 地形を体に感じる

    頭を空っぽにして 歩いた方がよい時もあり
    その一歩一歩を体に刻み 意味を求めるのがよい時もある

    もちろん 
    ビーチの木陰や ウージ畑をわたる風が恋しくなることもあるし
    夜のビールを待ちかんてぃーしながら さんぴん茶をがぶ飲みすることもある
    夏の上り坂は体に堪える
    その感覚にも 意味を求めたりもするのだが

    坂を上ること それ自体が目的の道程もある


    たいてい
    すぐ横の道を 路線バスが走っていたりする
    坂の途中のバス停のおばぁと 目が合ったりする
    歩き人が物珍しいのではなくて 昔を思い出しておられるのかもしれない




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一人で歩き また とぅじと歩いた坂

-2009/11/26 那覇市 首里金城町-




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冒険をやめて バス通りへ向かうことにした坂

-2010/2/20 沖縄市 住吉-




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どこまで下りられるのかと のぞきこんだ坂

-2009/2/22 浦添市 安波茶-




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自転車をきしませながら 立ちこぎした坂

-2009/2/24 読谷村 波平-




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ホワイトビーチ沿いの小路から集落に出て ほっとして眺めた坂

-2010/2/20 うるま市 平敷屋-




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ゆいレールを降りて歩くまで 見過ごしていた坂

-2009/6/30 那覇市 小禄-




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変わり行く泡瀬の海を眺めるために 登った坂

-2009/2/26 北中城村 渡口(県総合運動公園)-




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一歩を踏み出すたびに 足下に眠る歴史を想った坂

-2009/3/1 南風原町 黄金森公園-



2010-05-11

愛鳥週間に沖縄そば

  
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               「うちなーすばや でーじまーさんやしぇ」
                (沖縄そばは とても美味しいねぇ)




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               「ひんぎれーっ!」
                (逃げろーっ!)

               「しかまさんけー! そーそーばーばーしてから」
                (びっくりさせるな!騒々しいんだから)




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               「ちゃーびらさーい なーひん しぇーしん」
                (ごめんください もっと おかわりを) 

               「はっさ でーじ がちくらーぐゎー・・・」
                (何ともはや 大した食いしん坊スズメだね・・・)






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    3枚目の写真をズームアウトしてみました

    そばじょーぐーのクラー(スズメ)・・・ 失礼、ウチナーンチュの方は
    道路に面したこの丸椅子だけで、お店の見当がつくでしょうか?


    朝の7時半から開いているこのパーラーは、
    朝早くから動き回りたい日の朝ごはんに、とてもありがたいお店です。




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    「卵焼豚肉そば」450円。
    これが定番でしょうか。
    ほどよい量のフーチバーの香り。
    サイドメニューには、いなりすしか、「仲間コロッケ」を。




    もっと早くに、例えば、那覇バスターミナルから名護行きの始発バスの乗る時などは、
    24時間開いている食堂で、暁の「ふーカラシナ炒め」などをがっつりと食べるか、
    前の晩にスーパーで買っておいた惣菜を、これまたがっつりと食べたりもするのですが、
    やはり、朝の空気を吸いながら街を歩き、心も体も胃袋も目覚めてから、
    温かい沖縄そばをいただくのは至福の朝食です。


    朝の街歩きは、西町から辻、そして、若狭へと至ります。
    最初の頃は、久米に迷い込んだこともありました。

    朝の街は、時に、夜の街の余韻を残していたりもします。
    朝の街は、道行く人までも眠りに誘う空気を漂わせています。

    沖縄の歴史の多面性に思いを馳せるには、なかなか良い道でもあります。
    現在の沖縄のある一面を知るのにも、なかなか良い道でもあります。

    何も知らずに歩いていると、どぅまんぎる界隈でもあります。
    初めて沖縄を訪れた時の私のように。
    何も知らないような顔をして、それで、興味津々に朝の街歩きや人間観察を楽しむのが、
    スズメのように沖縄の生活に寄り添って旅をしたいと願う、現在の私です。




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-2008/3/26 二度目のちゃーびらさい-


    初めてこのカウンターに座って、中一日置いて、また来て、座って、
    そばの写真を撮らせていただこうとしていた、まさにその時のこと。
    グリーンのジャンパーに大きく膨らんだヒップバッグという私の後姿のせいか、
    近くに路上駐車をしていた運送屋さんと間違われて、
    ご近所さんに声をかけられるという笑い話がありました。

    パーラーのおやじさんと長話をしたのは、遅めの朝食だったその朝が最初で、
    そして、その時だけのことでした。

     「観光のお客さんも増えましたね・・・」

    そう言って微笑みながら、そばの写真を撮るコツまで指南してくださいました。


    それからも何度となく通っているのですが、交わす言葉は必要最小限。
    混み合っている時も、暇な時も、いつも同じように、ゆったりとした、
    おやじさんのペースで時間が流れています。

    注文どおりのそばの丼をカウンターへと差し出すと、おやじさんは網戸の向こうで、
    次のお客さんへ出すそばを茹でたり、出汁の鍋の火力を調整したり、
    ネギをゆっくり刻んだり、思い出したようにお冷を出してくれたり、姿が見えなくなったり。


    ただ、美味しいそばを作り、お客さんに食べてもらう。
    ただ、それだけ。
    職人気質、そんな言葉が似合うおやじさんなのでしょうか。

    そんなおやじさんは、きっと、茹でる時に千切れたそばを、
    丁寧に取り分けているのでしょう。

    でも、そのそばの切れ端は・・・。




    今年もおいしくそばをいただいて、一時、空席になったカウンターを振り返った時のことでした。
    住宅街の中にあるこのパーラーの前に路上に、
    どこからともなく、スズメたちが集まってきました。
    
    すると、スズメたちの群れているところへ、
    なにか小さな白い小片が、放物線を描いて、軟着陸しました。
    その小片はパーラーの脇から、ひとつ、ふたつと、飛び出してきていました。

    それを、その場で夢中になってついばむスズメ。
    テイクアウト派のスズメは、くわえて飛び去ります。
    ぴょんぴょんと飛び跳ねて、少しずつ、店との間合いを狭めていくスズメ。
    通り過ぎるスクーターに驚いて飛び去っては、また、舞い降りてきて。


    次のお客さんがカウンターに座るまで、私はそんな情景を、
    スズメのように距離を保ったまま、楽しみました。



    職人気質のおやじさんが、穏やかな笑みを浮かべて、
    掌の上のそばの切れ端をつまんでは、中空に放る。
    ウーマクーが遊ぶさまを眺めるかのように、満足げに、
    そばじょーぐーのスズメたちを見つめる。

    そんな姿を、私は実際には見てはいないのですが、
    なぜだか、見たような気がしてしまうのです。
    正面から。スズメの目線から。

-2010/2/22 那覇市若狭-

-Special Thanks-
  若狭パーラーさん(那覇市)    




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     スズメたちが朝食にありついた5分後。
     これもまた、街の朝。



2010-05-09

母の日

  
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     ワタクサーを手にしたアンマーが
     「自分にご褒美だねぇ」と
     幼なじみの店主の勧める サンゴの首飾りを買い求め
     「あいっ、プリクラ撮ろうかねぇ」と
     家族写真御用達の写真館で 典雅に品を作る

     そして まちゃーぐゎーで
     家族のみんなが ちょうど満腹するほどのオードブルと
     お父の酒のための 少々の刺身と
     作り手の顔をみんな知ってる たくさんのお菓子を
     ゆんたくとシーブンとともに 買い求める
      
     子どもや孫たちは
     「毎年のことだね」と
     そんなアンマーの帰宅を待ちわびる
     待てずに飲み始めてしまったお父は
     こっそり買ってきた花のことが 気になって仕方がない

     
     そんな母の日の情景を思い浮かべてしまう
     糸満のすーじぐゎー

     いや まったくもって 想像の世界なのですが

-2010/2 五回目の糸満市-





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     母の日といえば このお方 仲田幸子さん

     写真を撮ったこの時は お名前もお顔も 存じ上げず
     数日の後 那覇の農連市場で
     そっくりのお化粧をされた ちゅらかーぎーおばぁに会ったときも
     「デジャヴ?」と思った程度

-2008/3 初めての糸満市 初めての二日酔いの昼食-







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     沖縄放浪・放蕩息子から 今年は伊江島の幸が届いたと
     先ほど 母親から連絡がありました

     自分自身が食べたいもの 食べたかったものを
     あれやこれや 詰め合わせにしていただきました

     なにしろ 島を出てからも数日間 本島をあまくま歩きしたもので
     自宅用の伊江島土産といえば 軽くて荷物にならないような
     殻つき落花生 じーまみー粉 ピーナッツ油味噌
     ダツの干物 アーサ 黒糖 等々
 
     そんな 本部港へと渡った伊江島土産も
     旅の途中で 三々五々 手土産やお礼に差し上げてしまったり

     次は自分用に
     塩茹じーまみーや 土つきの島らっきょうなどを
     「ワタクサーがないから 家計の食費で買ってよ」と
     とぅじに頼むことにします

     「ワタクサーって何?・・・よく分からない沖縄の言葉を家で使うの、いい加減にして」
     とぅじにわじられないようにします

-2010/2 伊江島-


-Special Thanks-
  平和食堂さん(糸満市)
  伊江もの本舗さん(伊江村)


2010-04-01

海 読谷 2008 ~2009

 
    4月1日
    記憶にとどめなければならない一日であると同時に
    そこに至った経緯と その後の出来事に思いを致す
    数多くの日の中の一日

    陸の側から 海や空を見た記憶は
    口承の記録によって 想像し 伝えるしかない

    海や空に怯える日々は すでに始まっていたことも



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2008/3/24 楚辺の海岸より、トリイステーション、嘉手納、北谷方面を望む





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2009/2/23 渡具知、「米軍上陸の地碑」付近。下は特攻艇秘匿洞窟跡





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2009/2/24 米軍トリイステーション。フェンスの中に往時の避難壕(洞窟)が残る。生活の場も





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2008/3/25 座喜味の採石場付近から都屋の海岸を望む





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       2008/3/25 座喜味城址。ここに高射砲陣地が置かれた。
       近くの家族壕では、「10・10空襲」で村内最初の一般住民犠牲者が出ている




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2008/3/24 静かに日没を迎える残波のビーチ



-参考図書-
  『読谷村の戦跡めぐり』/読谷村史編集室 (2004年 第二版)
  (『読谷村史』第五巻資料編4 「戦時記録」関係資料集 第2集)


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