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2009-07-17



人も歩けばセミに出会う


キミはボクの ボクはキミの存在を お互いに 明らかに 意識しあっている
キミの瞳の焦点が それを物語っている
こっちをじっと見つめながら 少しずつバックステップしていく
キミの足どりも

  キミの遠い親戚にあたる ツチイナゴってやつも
  警戒心と 好奇心を 持ち合わせたやつでね
  ボクの前で カメラの前で そんな風にふるまった
  最近・・・ うちの庭では 姿を見かけてないんだけど・・・

キミが ニンゲンの気配を察したセミらしく
捨てぜりふのような喚声や 思わず漏らした天水を残して
あわただしく飛び立ったりしないのは
キミも相当な 好奇心の持ち主なのか
それとも その樹がよほど 気に入っているのか



やがてキミは 松の樹に甘い露を求めはじめるのだけど
ボクはその味を知らない 松の名前も知らない

ボクは最近 琉球松の松明(てぃーびー)のことを知って 微笑み
ボクはこの旅で すぐ近くにあった宜野湾並松が
戦や基地のために伐採されてしまったことを知って 嘆息した

-2009/6/27 佐喜眞美術館(宜野湾市)-





その模様の樹皮を選び 見事に風景に溶け込んだ
キミの芸術的センスと 先天的擬態能力とを ボクは賞賛する
仲間たちが千々に飛び去り 乱舞する中で 泰然とそこにとどまるのは
キミの才能を ボクに誇示してくれているのか

ただ ひとつ 忠告をしておくよ
芸術的センスは微塵も感じさせない 擬態能力を後天的に身につけた
日夜 戦闘能力の向上と誇示に明け暮れているニンゲンが
平然とこの島にとどまりつづけているようだ

そいつらの森には 近づかないほうがいい
もしキミがその森で 島のために声を枯らして 激しく鳴いてくれたとしても
そいつらの耳には届かない
ガジャンのゲリラ戦を見守ることしか ボクには思いつかない

-2009/6/27 森川公園(宜野湾市)-





15年ぶりの 抜け殻ではない 意思を持って動く セミの幼虫との邂逅


  あの時は アイツは 落ちてきた
  落ちてきたとしか思えない
  だって 「長崎市公会堂前」バス停の人ごみの中で
  ボクの肩口まで 地面を歩き ズボンを這い上がってくるのは 無理だろう
  真上にあった楠の大木の枝か葉っぱから 足を滑らせたって考える方が 自然だろう
  ボクは楠の幹のできるだけ高い 摑みやすいところに アイツをそっと放してやる
  ・・・ことはしなかった

  その夜の アイツの脱皮は 生命体としての 一世一代の大仕事
  その夜の ボクの荷造りは 転勤族としての もううんざりの引越し準備
  アイツは 明日の朝には 身ひとつで 静かに飛び立つ
  ボクは 明日の朝までに 大量の荷物をダンボールに詰め 慌しく出て行かねばならない
  地球の自転に合わせて ゆっくりと 姿を変えていくアイツ
  時計の針に追われて ドタバタと 血相を変えていくボク

  そんな対照的な一夜を 一緒に過ごすことになるという予感があった
  ・・・いや 孤独な長い夜を共にする 一期一会の友になってもらうことを願ったのだった
 
  だからボクは アイツをそっとハンカチに包み
  今日でお別れになる 立山公園行きのバスに乗り
  見慣れた車窓風景と 右手のハンカチを交互に見ながら 家路についた

  予感どおりの 長い夜だった
  ボクが 1時間に1回 30分に1回 15分に1回と
  手を休め 一瞬の涼風のように 微笑んだこと以外は

  アイツは しっかりとしがみついていた網戸で 立派に姿を変えて 朝を迎えた
  ボクは 昨夜と大して変わらぬ 混沌の極みにある部屋で 朝を迎えた

  世界が光に満たされ始め アイツの羽も体躯も 強く逞しく光に照らされる

  眼下に見下ろす長崎の街が動き始め
  周りの木立では 先輩セミたちの合唱が始まろうとしている・・・・・・


15年も前のだな そんな数時間の出来事を 克明に思い出させる不思議な力が
シマーには 秘められてんのかねぇ
・・・いや 違うな オレはそんなに飲んでないぞ!
だからよ オマエの顔やら オマエの脚の この少しチクチクする手触りとか
それと この夜のくそ暑さだ そんなことが オレの記憶を 呼び覚ましたんだな

だけどな オマエはアイツと違って どこから来たのか 分かるぞ
・・・っていうかなぁ オマエ
こんな真夜中に 酔っ払いの足元を ノコノコ歩いてちゃ 危ねえだろ
オレはなぁ 酔っても視力は2.0あるからよ
島ぞうりの30センチ先の オマエの姿を見つけることができたんだぞ

あ いや 違うな
・・・そっか 真夜中だから オマエたち 真夜中のうちに ・・・変態するんだったな
・・・って ニンゲンの変な輩じゃねえぞ
・・・あ だから そう 脱皮だ そう 脱皮 脱皮
だから 長い 長い 地中生活を終えてだな
・・・まあ よくがんばった 感動したっ!
で 脱皮をして 明日の朝には 晴れて太陽の下で 新たな人生を始めるってわけだ!

いやぁ めでたいぞ! 「♪かりゆしの夜よ~」 だ
大いに食って 鳴いて 飛んで 歌って 恋をして!
短い夏を・・・

  ・・・・・いや 何でもない 酔っ払いの どぅーちゅいむにーだ

よし! これも何かの縁だ
オマエが歩いて行こうとしていたその先に じょーとーなガジュマルがあるじゃないか
あそこまで連れて行ってやろう
ノコノコ歩いてると あと30分はかかるぞ
それに もう午前1時過ぎだ いったい 何時だと思ってんだ?
・・・いや オレは酔ってないから まあ いいんだけどな
オマエだよオマエ 朝までに間に合うのか?

・・・ほれ まあいいから 指に乗れ



そうそう そうやってしっかりとしがみつけば 大丈夫だ
できるだけ高いところまで登って さあ あとは思う存分 生きろよ
立派になった姿も見たいけどな オレも明日の予定があるからな
夜が明けて 太陽の光を見ても しかむなよ!

じゃあ・・・

  ・・・太陽の光

  光・・・?

太陽の光を見る前に 何度も ストロボの光を オマエに・・・
・・・しかましたか?

  ・・・すまん 軽率だった

地上で最初に見た 人工的な光の残像は 抜け殻とともに脱ぎ捨てて
太陽の光に照らされた美しい世界を目に焼き付けて 元気に飛び回ってくれよ

-2009/6/28 午睡の達人のいた公園(那覇市)-





昨夜のアイツではない
ここまで飛んでくることはないだろう
それに たった一日にして こんなにもグロッキーになるはずがない
いくら 暑さが厳しく 自然の摂理が厳しいとはいえ

キミは これから脱皮へと向かう幼虫ではないんだ
白昼の街路樹の下のアスファルトの上に
キミは 無防備にいてはいけない
キミが その時とその場所を選んだのであれば
ボクは その意思と覚悟に背くことはしないが

左の羽は まったく傷ついていないではないか
ボクの手に伝わる6本の脚の力は 十分にキミの体重を支えられるはずだ
何よりも ボクがキミを捕らえた瞬間に見せた 全身を震わせ 硬直させた一瞬の抵抗

もう少し 生きてみないか

その右羽では もう 大空を舞うことはできないかもしれないが
その6本の脚で この街路樹の樹皮を摑み
何もしなくていい 時に身を委ね 生きることへの執着を捨ててもいい
それでもいいから 静かに 生きてみないか

キミがずっと 木の根につかまって過ごした
子どもの頃の安らかな日々のように



古謝美佐子さんの「夏ぬサンサナー」を初めて聞いた 去年の秋の日を思い出す
いや 秋にはまだ 早い
昨日 梅雨が明けたばかりなんだ

故・三沢光晴さんの入場テーマ 「スパルタンX」を思い出す
倒れても 倒れても 立ち上がる 生前のあのファイトを・・・
いや まだ
・・・死んではだめだ

-2009/6/29 飲食店の看板と街路樹の葉が重なる東町の通り(那覇市)-



2009-07-12

歩きたくなる径



とおくひろがる めのまえのけしき




おしえてくれた ひとみにうつして




ひとこと ひとこと すきとおるわたし




みみをかたむけて またたきするたび




こころははれてく




とおくつづく あるきたくなるみち




おしえてくれた ほほえみにのせて




   ZABADAKに上野洋子さんがいた頃の

   「歩きたくなる径」という曲が好きで

   今でも何度も聴いています


   暑い熱い 沖縄の太陽の下を歩いているときに

   その歌声を 頭の中でリフレインすることは

   木陰を見つけたり そよ風を感じたり

   懐かしい人に会えたりすることと同じように

   涼やかな幸せでした

   
   でも

   写真が残っているということは

   そこは 「立ちどまりたくなる径」 でもあったのでしょうか






      歩くには十分な道を拡げるために 憩いの湯が消えることは 寂しくて 悲しい
(糸満市「ときわ湯」の前の通り)




64年前の痕跡が 今も石塀に残る径 (南風原町津嘉山)







「暑そうだね」  「熱中症に気をつけて よんなーよんなー 歩きなさい」



 原詞 「歩きたくなる径」
     作詞・作曲:上野洋子 ( 『桜』/ZABADAK 収録 )

2009-07-11

Horizontal な風景

上から順に・・・

那覇空港方面へ向かう皆さま

首里方面へ向かう皆さま

そして、今は選挙権のない、やしが、先々お世話になるかもしれない、お子さま

そんな皆さまに、名前を連呼していた皆さまたち

 ・・・の肖像が一番下に



2009/6/30 ゆいレール 奥武山公園駅付近


しばらくは見られないこの光景


沖縄滞在中、偶然、目にした、那覇市議会議員選挙の様子

酷暑の中、自転車で走り回るチューバーさんもいました

(首里とか 小禄とか 識名とか 国場とかも走ると さぞかし オリオンビールが美味いだろうなぁ・・・)

噂に聞いていたとおり、カタカナや、姓ではなく名を強調したポスターも目にしました

(国会議員さんのポスターは いつ行っても目にします 隣で微笑む党首は コロコロ替わりますが)

しかし・・・、さすがに、

ジョン・クレイトンさん、というようなお名前の方はおられませんでした



沖縄滞在中、偶然、目にした、夏の高校野球沖縄県予選のテレビニュース

日本のプロ球団も、メジャー球団も注目しているという、浦添の運天くん


 「もし、プロ入りしたら、登録名はどうするんだろうね」

 「 "ジョン・クレイトン" だったら、ダルビッシュみたいでカッコいいですけど」

 「でも、普通に名字だったら "運天" ・・・だよな」

 「なんか・・・、だっからよ~・・・、っていう感じっすねぇ」

 「 "J.C.運天" とか、いいんじゃない? ラップふーじーだけど」



沖縄から戻って十日目

早くも禁断症状が出て、福岡の沖縄料理店で飲みながら

沖縄ローカルな話題を肴に、好き勝手な話をしております



福岡に来て何年目?

「沖縄の風 エイサー」 福岡市中央区春吉3丁目21-22



あ、世界中の運天さんへ

文中にご無礼な点がございましたらお詫び申し上げます

私は運天投手を応援します!阪神タイガースの救世主になっていただければ・・・

2009-07-08

沖縄夏味

黒いリュックを背負って 真っ黒に日焼けして
スイカをめがけて飛び込んできた
カブトムシみたいなおじさんに
ワラバー しかんだ はにかんだ




カブトムシは 汗まみれの手で おじぃに130円を手渡すと
人間向けによく冷やされた カットスイカを
人間のように一切れずつ 爪楊枝で口に運び
カブトムシらしく 果汁を口の周りに滴らせたんだ




おじぃから手渡された 百円玉と十円玉を
しっかり数えてレジに収納するのが
ワラバーの日曜日のお手伝い



しかんだ はにかんだ ワラバーは
カブトムシが 「琉神マブヤー」のお話をすると ちょっと微笑んだ

しかんだ はにかんだ ワラバーは
カブトムシが おじぃおすすめのマンゴーも好きだと分かったとき
おじぃの笑顔を見て ちょっと微笑んだ

マンゴーは旅をする 東風平 豊見城 那覇空港
そして ワラバーが知らない街へ
知らない街から来た カブトムシの家へ




今帰仁のスイカ 東風平のマンゴー 
糸満は南 石のシーサーは西に東に 太陽は真上に
三日後に知った梅雨明け宣言


カブトムシは 天ぷらも食べにきたのだったと思い出し
イカと 野菜と 芋餅を
追加で 魚を シーブンで 芋を
人間のようにサクサクと ほおばったんだ




しかんだ はにかんだ ワラバーも
昔 カブトムシが大好きだったカブトムシも
カブトムシがご飯を食べるのを 

飽きることなく
見つめていたもんだ









私の手はよく野球選手サイズだと言われるのですが・・・。まぎー野菜天ぷら、厚みもあります




    初めていただきました!芋餅天ぷら!もっちりとサクサクのハーモニー!

-2009/6/28-


― Special Thanks ―
  豊見城市名嘉地のタカエス青果さんと、お隣の天ぷら屋さん
  ちゅらじお http://churadio.com/  プロパン7の「沖縄劇場」

2009-07-05

午睡の達人





 見つけてごらん

 お昼寝の達人


   マヤー あらんよ

   キジムナー あらんよ

   ベンチは あちさよ







 木陰の 一輪車に

 お昼寝の達人

 
   キジムナーは おじさんの夢の中

   キジムナーは おじさんの膝の上

   キジムナーは おじさんの鼻毛と ガジュマルの気根を揺らし

   仕事を始める時間がきたら 一輪車を そっと 押す


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