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2009-12-26



沖縄に降る雪・・・ふーじー?


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    電子レンジの オーブン機能の使い方が
    いまひとつ分からないまま



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    たった一枚の写真と 
    材料を「マジェマジェして レンジでチン」というだけのレシピを頼りに



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    グラタンを作ってみました
    沖縄そばと ホワイトソースとの出会い



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    この料理には 「照喜名そば」が上等やっさ
    この料理の発案および命名者さんから 今週の月曜日に
    インターネットラジオを通じて ヒントをいただきました



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    手作りコーレーグースも 相性バッチリでした



    福岡に 局地的に降った 『沖縄に降る雪』


    夫婦二人の夕餉に 500gの麺は 大雪注意報でした


    「照喜名そば」より安い ワインと一緒に
    おししくいただきました


-Special Thanks-
 ・プロパン7(けいたりんさん、じゅぴのりさん)
 ・宮沢和史さん


2009-06-05

深夜のむきむき

 旬や季節感というものを感じることが少なくなったスーパーの青果売場。しかし、よく目を凝らしてみると、あるところにはあるものです。

 今、この季節、目を凝らさなくとも圧倒的な存在感で目に飛び込んでくるのが、梅、赤シソ、そして、らっきょう。
 そして、その周りには、それらを漬け込むためのガラス瓶も。
 さらには、トレンドよりも、旬と季節に敏感な、乙女の年頃からの生活の知恵と経験を身にまとった
元・乙女たち。

 私のターゲットはただ一つ。らっきょう!
 土のついた生のらっきょう。白い根と、わずかに緑の芽を見せる、他の野菜を圧倒する、大袋に入ったらっきょう!
 一年中、口にすることができる甘酢漬に加工されたものでない、生命感溢れるらっきょう!
 島らっきょうではないと、分かっちゃいるけど、それでも、らっきょう!


 昨年は、保存法や調理法の勉強をしているうちに旬を逃してしまいました。
 正確には、本土のらっきょうで、いかにして、島らっきょう・ふーじーの食べ方ができるかを研究したり、思案したりしているうちに時機を逸してしまったのでした。

 旬は短く、だからこそ、元・乙女たちも「恋せよ乙女」とばかりに、競うように買い求めて行かれるのでしょうね。


 今年は考えるより先に、買っちゃいました。

 鳥取砂丘産と宮崎県産が、売場で覇権を競っていましたが、ここは、沖縄に気候が近いはずだという、まったく根拠の無い理由で宮崎産を購入。
 重さは・・・、あ・・・、よく確認しませんでした。たぶん、1~2キロといったところでしょうか。元・乙女ほどの知恵も経験もない私は、一番小さめの袋にしました。480円也。




 去年、調べたことの中で、記憶に残っていたこと。
 「買ってきたらすぐに下ごしらえをするように。生命力が強いのでどんどん芽が伸びてくる」
 ということで、夕食後、一柳亜矢子アナウンサーの笑顔を、満面の笑顔で見た後、早速、下ごしらえに着手しました。

 さらに
 「かなりの臭いを発する。丸一日は部屋中が臭うことを覚悟すべし」
 そんなことも読んだような気がしたので、とりあえず、窓は全開。




 
 いや、しかし・・・
 土を落とすところまでは手際よく進むも、根と芽を切り落とし、薄皮をむく作業に気が遠くなるような時間がかかります。
 一時間程度で終わらせるつもりが、半分も進まず。むいても、むいても、・・・・というより、むくのが難しい。

 やがて、インターネットラジオ「ちゅらじお」で、プロパン7の「沖縄劇場」が始まる時刻、23:00 が近づきました。毎週、月曜日の生放送中は、番組にリアルタイムでメールを送ったりしながら、パソコンに向かって仕事しているふーじーに集中して聴いているのですが、木曜日は再放送。
 ということで、この夜は、手を動かしながらの、単調な作業の友にさせていただきました。

 パソコンの前に、らっきょうの入ったザル、薄皮をむくために水を張ったボール、まな板、ペティナイフ、新聞紙などを運んで移動。
 なんか、へんな~体勢・・・。

 世界中で聴けるインターネットラジオ。らっきょうの皮をむきむきしながら聴いている人、世界に何人いたでしょうか・・・。
ちゅらじお http://churadio.com/






 日付が変わってもまだ、薄皮むきむき。
 そんな中、小さめのものを塩で揉んでは、つまみ食い・・・、あらん、味見。


   ・・・・ん  ・・・・いけるんじゃないかな?

   ・・・・ちょっと、鼻に抜ける刺激臭と  ・・・・口に残る辛味が強いけど

   ・・・・カツオ節と  ・・・・シマーがあれば  


 いかんいかん、刃物を扱っている時は、飲むのは自重。


   ・・・・生食は  ・・・・大量には  ・・・・無理かな

   ・・・・やっぱ  ・・・・島らっきょうとは  ・・・・違う


 それでも、ついつい、程よい大きさのものを見つけては、口に運んでいました。
 あ、そうそう、最初の方に下ごしらえしていたものは、塩、もちろん、島マースでよく揉んでいたのでした。これが、ちょうどいい感じの塩加減に。

 しかし、調子の乗って食べ過ぎたのか、やがて、口の中から食道、さらには胃にかけて、じわ~っと熱を帯びてくるような不思議な感覚。

 不快ではないけれど、爽快でもない。

 有り体に言うと・・・

  「口直しがしたい」


 意外なものが期待に応えてくれました。上の写真にも写っていますが、A&Wのルートビア!これが ・・・・絶妙なのでありました。生らっきょうの口直しに。
 宮崎産らっきょう + アメリカン・ドリンク ≒ 島らっきょう?


 深夜の島らっきょう・ふーじーに、エンダーのルートビア。そして、じゅぴのりさん、けいたりんさんのトーク。

 シマー無しでも、いいあんべぇ! の夜でした。




-2008/3/26-

那覇農連中央市場にて。100円の塩漬けを買ったら、飴玉を2個、いただきました。


 やしが・・・、やっぱり、本場の「本物」「元気」がいいですね。
 もちろん、シマー、飲みながら。


2009-01-22

責任と義務 God Bless 美ら海

 オバマさんが200万人の人々を前に就任演説をした日、
 私は200円(定価400円に半額シール)のイサキでマース煮を作りました。

 「200」しか共通項のない、と思える二つの話題ですが・・・。

 「責任と義務」。生命あるものを食する時、その生命を残すことなく、無駄なく、有難くいただくとともに、誠心誠意、美味しく調理することも、責任と義務である・・・と常々思っています。
 ・・・あ、それと私が、私の趣味で頻繁に食卓に上げる沖縄風料理(おこがましくて「沖縄料理」とは申せません)、妻からNGを出されないためにも失敗は許されないのであります。「だからぁ、私が嫁入り前に通った料理教室のノートのとおり、「お煮付け」にすればよかったでしょ!」と言わせないためにも、まーさんに仕上げなければならないのです。

 そういえば、スーチカーとの出会いについては先日書いたとおりですが、このマース煮をどのようにして知ったのかは思い出せません。過去に入り浸った全国各地の沖縄料理店や、NHK『ちゅらさん』の「ゆがふ」のメニューにもなく、また、旅で訪れた海人の町・糸満の店でも見かけた記憶がありません。

 あ、でも、昨年3月に那覇でFECの「お笑い米軍基地」公演を見た際に、まーちゃん(小波津正光さん)の著書『お笑い米軍基地』を買い求めたのですが、その中にマース煮に関する記述があります。
 ――嘉手納基地が見下ろせる某所(私も訪れました)のメニューに「エー小のマース煮:650円」があって、その下には「魚のバター焼き:時価」の文字が。時価って、どんな高級魚か!寿司屋か?それで出てきたのがエー小だったら怒るじぇ――(すみません、勝手に要約しました)
 この時点で、私はすでに、マース煮の何たるかは理解していました。ゆえにそのロケーションとのギャップに大笑いしたものです。ちなみにエー小・・・、エーグヮーと読むことはできたのですが、どんな魚かは知りませんでした。帰宅後すぐにその姿を調べて、再度爆笑。

 あいっ、話が逸れまくりました。マース煮ですね。
 というわけで、食べたこともなく、作り方も知らないまま日々を過ごしてきたのですが、ついに自己流で作ってみることを決心しました。
 とは言うものの、冒頭に書いた責任と義務に鑑み、作るからには美味しく作らねば、そして、妻を納得させなければ。スーチカー同様、ここでもネットのお世話になりました。そして、ここでもまた、料理サイトや主婦ブログの百家争鳴。でーじしかんだのは「きびなご(スルル)のマース煮」。たぶん、頭から丸かじりなのでしょうね。長崎県五島の名物料理「きびなご鍋」を思い出しました。

 結局、選んだ魚はイサキ、そして、参考にしたのは、なんとソムリエ・田崎真也氏のレシピ。・・・なのですが、全然てーげーでない、フレンチふーじーの手の込んだレシピでしたので、それは勘弁させていただいて、参考にしたのは塩加減だけ。「水1カップに塩小さじ1/2強」。ただそれだけのことなのですが、「海水の塩分濃度の半分くらい」という表現が好きでした。あ、もう一つ、アーサを添えるというのも参考にさせてもらいました。

 これまで5回ほど作りました。今のところ、美味しくいただけています。少なくとも、料理教室ノートのとおりの完成度を求められ、いまだ合格点をもらえない「お煮付け」よりは、妻の評点は高いです。一度だけ、小骨の多い別の魚を使ってみた時は苦労しました。魚はまーさんだったのですが、小骨とアーサが混じってしまい、食べるのに一苦労でしたが。

 そして、昨夜もまた、「黒潮源流塩」と「沖縄県産品」マーク(比嘉製茶)の乾燥アーサを用意し、鍋を火にかけたのでした。
 写真は・・・・台所が汚いので・・・・ヒヌカン様にはお見せできない有様なので・・・・どうしようかと考えましたが・・・・撮るのに苦労したので、恥ずかしながらアップさせていただきます。


 半額シール付きでしたが、地元玄界灘産。調理日は当日です。イサキさんの名誉のため・・・。


 レンズが・・・。湯気で何も見えません・・・。普通に考えれば分かること・・・。レンズ、いや、カメラにはあまりよくない使い方のような・・・。


 完成間近です。胸びれがピンと立つのは成功の証・・・と勝手に解釈しているのですが。もし、違っていたら、ご指南ください。


 最後にオバマさんへ。グリーン・ニューディール政策で、美味しい魚や塩の獲れる「美ら海」を守って欲しいものです。

2009-01-12

数値化できない味

大分県産 錦雲豚です。

 ストーブの上でスーチカーを茹でています。なんとなく幸せな冬ごもり気分。何をするでもなく流れる休日の時間、そんな緩やかな時の流れに委ねるスローでエコな料理。時折、思い出したように蓋を取ると、湯気が立ち上り、香りが部屋を充たします。

 「ストーブの上に物を置かないでください」と取扱説明書には書いています。でも、かれこれ10年近く、やかんでお湯を沸かし、カレーやシチューを煮込んでいますが、何の問題もないです。ストーブの上に
やかん、卓袱台の上にみかん、これぞ日本庶民家庭の冬の風物詩。なんくるないさぁ!


 さて、スーチカー、スーチキとも呼ぶようですね。よく行く福岡市内の沖縄料理店ではスーチキです。
 昨春の沖縄旅行以来、すっかり我が家の定番メニューになりました。茹で汁とともに冷蔵庫の常備菜です。しっかり脂抜きしたスーチカーは、夏は薄切りにして、オニオンスライスと一緒にポン酢で。冬はデークニ・ンブシーやイナムドゥチにも。フーチバージューシーには細かく刻んで。主役でも脇役でも、いい味出してくれます。

 茹で汁もでーじ上等ですね。さすがに一回目の茹でこぼしは塩と脂が多いので使えませんが、二回目の茹で汁は万能だしです。少し塩分は濃いですが、それは全体の味付けで微調整。
 さらに、半日ほど置いておくとラードの膜が固まってきます。最初は「脱・メタボ」のため、もったいないと思いつつ捨てていました。しかし、ジューシーに入れてみるとご飯が艶々のピッカピカ。コクも深まりました。この自家製ラード、今では他の料理にも有効活用されています。
 そして、この茹で汁とラードのコンビ、以前から自己流で作っていた(今でも自己流ですが)かつおだしだけの「クーブイリチーふーじー」の味も劇的に変えてくれました。今ではメインディッシュ待遇に昇格し、食卓では奪い合いです。

 やしが・・・、スーチカーの茹で汁でイナムドゥチ? いくらなんでも、てーげーすぎ? 塩分摂り過ぎ!?
 私も最初は逡巡しました。でも、水で少し薄めて、また、味噌の量を加減したりして、二回目からはうまくいくようになりました!
・・・はい、一回目は失敗しました。塩辛すぎる!海水じゃー!・・・「マース煮ふーじー」でした=:[

しろま食堂。那覇市西2丁目。昨年5月に40周年を迎えました!

 しろま食堂さん。那覇市西2丁目。昨年、40周年を迎えた老舗。でも、おかあさん、元気です!
 旅の中日にふらりと立ち寄り、すっかり意気投合。沖縄最後の夜も楽しいひと時を過ごさせていただきました。その夜、おかあさんが店の前の植え込みの葉で作ってくださった「サン」は、この上なくうれしい真心のこもった沖縄土産でした。自宅に帰り着くまでずっと、胸ポケットに挿してお守りにしていました。
 そして、このしろま食堂こそ、普天間かおりさんファンの聖地・・・、ということは皆目知らなかった私が、数日後には大ファンの一人に。縁とは不思議なものです。

 さて、いろいろな手料理をご馳走になって、いっぺーまーさいびん、タラジサビタンだったのですが、後日、写真を整理していた時、お店の前の看板に目が止まりました。そこには、「あい?その料理、食べてないねぇ」・・・というよりも、初めて見る未知の料理の名前が。

 「スーチカー、ぬーやが?」

 そうなのです。私は本場沖縄で本物のスーチカーを食べるチャンスを、目の前で逃してしまっていたのです。

 さっそくネットで調べてみたところ、三枚肉にたっぷりの塩をまぶすところまでは同じなのですが、その後が・・・、冷蔵庫で一日、常温で一週間、ラップで巻く、軒に吊るす!?さらに茹で時間や湯を代えるタイミングまで、プロ、アマ入り混じっての、料理家の百家争鳴状態やっさ!

 結局、冷蔵庫で二晩、茹で時間はてーげー、というのが今のところの自己流です。
 
 次回、しろま食堂に行ったら、「ビール?シマー(泡盛)?」と聞かれる前から最初にスーチカーを
注文し、その40年の歴史を経た味の極意を伝授賜りたいと思っております。

2008-12-14

山羊汁初体験はユニオン赤嶺店

 ハナシチふーじー。風邪のひき始めという感じです。

 先日、「月と赤提灯」の構図を求めて夜間徘徊し、赤提灯の目の前まで行きながら・・・、心も体も温めてくれる店の暖簾を目の前にしながらっ! 自分の体より財布の中がもっと寒いことに悄然とし、飲まずに帰ったことが身体に悪かった。そうに違いない。病は気からであるわけさぁ・・・。

 
常備食。
 
 というわけで、久しぶりの「オキハム山羊汁」やいびーん!
 常備食のくすいむん。普段、ついつい手が出そうになるのを、こういう時のためにぐっとニジークネーしてきました。体を温めて、フーチバー(乾燥ですが)入れて、生姜もたっぷり入れて、早く寝ることに。・・・が、一説によると血圧が上がって、元気になって寝付けなくなる方もいるとか??

 山羊が一匹、山羊が二匹、山羊が三匹・・・。 

 一夜明け・・・
 うきみそーちー!朝になりました。ぐっすり眠れました。調子いいです。効いたかな。

 山羊汁といえば、10日間も沖縄にいながら食べる機会を逸してしまったのが心残りです。イカスミ汁とイラブー汁はいただけたのですが。
 最後の日、那覇空港で荷物を預けた後、手元にゆいレールのフリー乗車券があることを思い出し、万感の想いを込めて別れを告げたはずの沖縄へ再びめんそ~れ~。一駅だけ戻って赤嶺駅。目の前にあったユニオン赤嶺店でお土産(自分用)に買ったのが、オキハムさんのレトルト山羊汁でした。

 しかし、福岡の「わしたショップ」でも買えるオキハム山羊汁(いつも迷います、三合瓶と。どっちを買うか。両方、同じくらいの値段やさ。沖縄愛を貫くにはおカネがかかるわけさぁ。)を食べただけで、「わん、ヒージャー汁、しちゅっさー」宣言をしてもよいものか。本場の本物の本気の本番の本質の本性を知らずに。

 ううぅ、だんだん、この香りの虜に。
 
 しかし、食すごとに、その魔性の味に取り憑かれていく自分が分かります。顔が自然とほころぶ・・・を通り越して「うひひひひひ」という感じになっていきます。匂い、肉片の舌触り、骨の質感、濃厚な汁。至福の味やっさ。それだけに、ああ、それだけに本物が、沖縄の専門店の山羊汁を食べてみたい。
 万一、いや、そんなことはないとは思いますが、「百年の恋も・・・」というような事態が待っていようとも、「あがっ、はっさみよー、もう勘弁してたぼれー」ということになろうとも、山羊さんの生命をいただくわけですから、汁の一滴も残さずにクワッチーサビタンすると宣言いたします!

 ところで、旅行に行く前のリサーチで、ネット上で「山羊を食べるならここ!」と紹介されまくっていた竜宮通りの有名店、店の前を歩いてみたら、真新しい看板には「牛さし」の文字が。・・・ということに、帰ってきてから写真を整理している時に気づきました。
 
 決まった。那覇市東町のあの店に行こう。


:**:今日の一枚:**:
「We'll Meet Again/さがゆき、渋谷毅、潮先郁男」
 この一年、最も心を温めてくれた一枚です。
 偉大な登川誠仁さんが「誠小」と親しみを込めて呼ばれるように、ジャズピアノ界の巨匠、渋谷毅さんも「渋やん」の愛称で親しまれています。本当に飄々とした、(時折垣間見せる音楽への厳しさ以外)何物にも捉われない、肩の力の抜けた、空気のような存在感の方なのです。とはいっても一介のファンとしては、今年初めてご本人と対面した際、お互いにほろ酔い加減であったにも関わらず、やはり直立不動で「渋谷さん」と呼んでしまいました。
 不思議な人です。最初にその名前を意識した時は、「歌伴の上手い人だな」という印象でした。といっても、ヴォーカルではなく、正しくは、サックスとのデュオというフォーマットでした。宮澤昭さん、林栄一さんとのデュオ。手数とかフレーズ云々ではなく、♪ポロリン、という印象的な「音粒」が耳から離れませんでした。そのスタイルはソロ・ピアノにおいても変わりません。
 ところが、その同じ「渋やん」が、現代日本ジャズ界の梁山泊、「渋谷毅オーケストラ」ではまったく別人になります。というか、「渋やん」は終始、各メンバーの人間性、音楽性を自由かつ最大限に発露させることに徹しています。ソロのスペースが大きく、また、演奏者を念頭に曲を選ぶ(曲を提供するのも各メンバーですが)のは「渋やん」の敬愛するエリントン楽団に通ずるものがあると思います。
 ジャズという分野にとどまらず、巷に流れている様々な愛らしいメロディを、実は作曲したりされているという一面も。

 「渋やん」の話が長くなりましたが、この三人がこの作品を制作するまでには、多くのドラマがあったようです。今は病床にある人物の願いを結実させたのがこの作品とのこと。
 そして、私が聴きにいったライヴは発売記念ツアー。しかも、直前には、その人物を前に演奏するという夢も実現し、いよいよツアーも最終日という夜でした。色々な想いが込み上げてきたのか、ヴォーカルのさがゆきさんの歌声には情感が溢れ、時に涙も溢れ、芋焼酎ではない"何か"に深く酔いしれた微笑は宙空を漂いました。
 そんな二人にそよ風のようなバッキングを送り続けるギターの潮先さんは、故・中村八大さんからジャケットを譲り受けたというほど親交が深かったとのこと。左胸に「Nakamura」の刺繍が入ったジャケット、その晩もお召しでした。

 そういう、ヴォーカル、ピアノ、ギターの三人が織り成す、どこか懐かしいメロディ。実を申さば、ほとんど知らない曲ばかりでした。話を聞くと、所謂ジャズ・スタンダードではなく、いい意味で世俗的な、古い時代の「流行歌」だそうです。
 作曲者が誰だ、誰彼の名演がいい、初出はミュージカルの・・・。ジャズおたくが陥りがちな、「お勉強」を一切忘れて、ただただ、音楽の波間にたゆたうのみ・・・。

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