2017-03-16



旅の始め(たびぬはじみ)

  
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 平衡感覚がまだ、怪しい。
 まっすぐに立っているつもりで、カメラを構えて見ていた世界は、こんな感じ。
 那覇空港着陸から2時間ちょっと。


 カーブと勾配がつづいたバス路線は、降車するバス停の直前に来てさらに、
 集落を正三角形に囲むような県道の、その二辺をなぞるように、上り下り、廻る。
(その一部はワイトゥイであることを、滞在中に教えていただいた。)


 沖縄到着最初のくゎっちーに、
 バス停の目の前の「よしや食堂」で、「ナーベーラー炒め」をいただく。
 ということを早々に決めていた。
 「はえばる美瓜(びゅうり~)ヘチマ料理フェア」開催の情報を、
 出発前に仕入れて。


 味噌の風味も妙なるナーベーラー炒めの、
 ドゥージル(ヘチマから出る滋味と旨味溢れる水分)の一滴も残すことなく、
 スプーンですくい取って、くゎっちーさびたん。
 きれいに整えられたテーブルと、お皿からこぼれることのない水平面と、
 満ち足りた食後のとぅるばりと、時の経過ののちにようやく、
 この島の、このシマの、平衡感覚にアジャストする。


 キャリーバッグの上に、いつもよりひとつ多い荷物。
 この一年、砕けてしまった暮らしの痕跡や、山から流れ出た土砂や、
 阿蘇の火山灰の上などを歩いてきた、安全靴。
 今回はウージ畑を歩くために持って来た。
 始めて、浮き浮きした気分でこの靴を履く。
 

 乾いたウージの葉は、靴の下でどんな音を奏でるのだろうか。

 ざわわ、ふわふわ、かさかさ、さわさわ。
 波打つウージ畑の中で、まっすぐに立っているつもりで、
 平衡感覚はまたしても、心地よく、怪しく、なるのだろうか。
  

-2017/2/23 南風原町 喜屋武-