2017-05-19



戦世を訪ねて 2008~2016

  
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   それぞれに それぞれなるままに 
   それぞれのときを 行きかうのを見ながら
   ぞれぞれなる流れからはずれて ひとり
   また この地を訪れる




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   ふと気づく ひとり
   振りかえる 一羽
   どちらからともなく 言葉を交わすこともなく
   同じ思いを抱いているのか わかるはずもなく

   それでも



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   ひとりは 一羽の同行に 何かを感じ
   一羽は ひとりの同行に 何をか思う




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   ひとりは 一羽へ向かって ニンゲンとして語りかける

   「ありがとう」
 
   かつて 伊江島のアハシャガマで
   ミツバチに向かって 同じような言葉を胸に抱いた日のことを思い出す
  



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   ニンゲンは またひとり

   ニンゲンは ひとり思うだけでなく 語り継ぐ言葉を持たねばならない
   ひとりから ほかのだれかへ 
   ほかのひとりへ ふたりへと




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   言葉の意味を考えながら 言葉に真実を蓄えながら
   ほかのだれかに 届く言葉で 

  
  
-2016/2/26 第32軍司令部壕・首里城公園(那覇市 首里当蔵町)-

  
  

2017-05-15

それでも、海と

  
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 27回を数えるこの島への旅で この岬を訪れることいくたびか

 初めての日とは違う気持ちで 今日 ここに立っている
 それでも 初めての日のことも 忘れない

 初めての日があり その次があって また 
 新たな気持ちに 新たな想いが重なって
 そして 今日 

 
 同じ場所で同じ時間を過ごす人の それぞれの表情を
 こんなに穏やかに見つめることが 初めての日にはできなくて

 ただひとり言葉を交わした 島の兄貴から教わったアダンの葉 
 その棘に指先を深く押しつけた いたみを心に刻むかのように

 夕陽に包まれながら 遠く夕陽の向こうを見ていた

 



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 今日はまた 今日もまた 今日の夕陽に包まれて
 目の前の今日を見つめ 穏やかに今日を分かち合い

 それでも やがて 今日もまた
 夕陽の向こうの 遠い日を想う
 アダンの葉陰に隠れた人 消えた人を 想う


-2017/2/27 喜屋武岬(糸満市 喜屋武)-