2017-05-31



いのち想う朝

  
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 一年前の今頃と同じ資料を読み返しています。

 一年前の今頃は、知らなかったことが多すぎて、知るべきことが広すぎて。読みながら同じ個所を行きつ戻りつし、分からない言葉の意味を調べ、いくつもの下線を引き。
 1930年代のハンセン病の方々の置かれた境遇、人々の意識。青木恵哉さんと病友が大堂原に土地を得るまでの数々の困難。
 32軍創設から強制収容(1944年9月の所謂「日戸収容」)に至る日々。戦時下に、定員の二倍という収容を余儀なくされた愛楽園内の困窮。
 
 舞台となった沖縄の様々な地のこと、1944年の「10・10空襲」から1945年沖縄戦に至る出来事は、これまでの旅の記憶の糸を辿って、なんとか思い浮かべることもできました。

 それでも、戦後になり、占領下においてもつづいた苦難のことはまた、何も知らず。沖縄と内地との差異も。
  
  
   
   
 
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 一年の歳月。
 旅の余韻と記憶を抱きながら、新たに触れたもの。
 
 昨夏、島で出会った方のご厚意で頂戴し、読むことができた『選ばれた島』。
 その本の著者、青木恵哉さんの足跡と、愛楽園設立に至るまでの経緯を中心とする数々の論文。
 患者の内面を深く知るところとなった、北條民雄さんの『いのちの初夜』。
 熊本で訪れた、本妙寺や、ハンナ・リデル女史、ハンナ・ライト女史ゆかりの地(熊本地震のため、記念館は休館中)の記憶。

 一年をかけて新たに、少しずつ、知ってきたこと、感じられるようになってきたこと。それらを胸に、もう一度、一年前の今頃と同じ資料を読み返しています。



 「自分の中にたくさん蓄えなさい。そして書きなさい」
 一年前に読んでいた、伊波敏男さんのインタビューの中から。
 川端康成さんが中学生だった伊波さんにかけた言葉。

 「ピープル ハンセン病に向き合う人びと」 ハンセン病制圧活動サイト Leprosy.jp HPより  http://leprosy.jp/people/iha01/
 


 蓄えたもの、考えたことを携えて、この夏、また、この島へ。
 

-2016/6/26 屋我地島(名護市)-



【2017/6/4 追記】
 様々な資料を読み進める中で、上記文中の「患者」という言葉について考えています。
 それぞれの方の境遇により、「療養者」「入所者」などと捉えるべきではないかと。一括りにしてはいけないという気づきとともに。
  
  

2017-05-29

一服の青空

   
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  からっと晴れた 沖縄らしい青空の写真を 久しぶりに


  この日 こんな青空に誘われて
  当初の予定を変更して ワルミ大橋を渡って
  屋我地島へ入ったのでした

  名護に入ってすぐ 名護の夏の恒例となった
  ヒートゥー炒めを いただいてから
 
  仲尾次のさしみや~には 翌日 行くことにしました



-2016/6/25 ワルミ海峡(今帰仁村 天底~名護市 我部)-



2017-05-19

戦世を訪ねて 2008~2016

  
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   それぞれに それぞれなるままに 
   それぞれのときを 行きかうのを見ながら
   ぞれぞれなる流れからはずれて ひとり
   また この地を訪れる




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   ふと気づく ひとり
   振りかえる 一羽
   どちらからともなく 言葉を交わすこともなく
   同じ思いを抱いているのか わかるはずもなく

   それでも



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   ひとりは 一羽の同行に 何かを感じ
   一羽は ひとりの同行に 何をか思う




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   ひとりは 一羽へ向かって ニンゲンとして語りかける

   「ありがとう」
 
   かつて 伊江島のアハシャガマで
   ミツバチに向かって 同じような言葉を胸に抱いた日のことを思い出す
  



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   ニンゲンは またひとり

   ニンゲンは ひとり思うだけでなく 語り継ぐ言葉を持たねばならない
   ひとりから ほかのだれかへ 
   ほかのひとりへ ふたりへと




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   言葉の意味を考えながら 言葉に真実を蓄えながら
   ほかのだれかに 届く言葉で 

  
  
-2016/2/26 第32軍司令部壕・首里城公園(那覇市 首里当蔵町)-

  
  

2017-05-15

それでも、海と

  
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 27回を数えるこの島への旅で この岬を訪れることいくたびか

 初めての日とは違う気持ちで 今日 ここに立っている
 それでも 初めての日のことも 忘れない

 初めての日があり その次があって また 
 新たな気持ちに 新たな想いが重なって
 そして 今日 

 
 同じ場所で同じ時間を過ごす人の それぞれの表情を
 こんなに穏やかに見つめることが 初めての日にはできなくて

 ただひとり言葉を交わした 島の兄貴から教わったアダンの葉 
 その棘に指先を深く押しつけた いたみを心に刻むかのように

 夕陽に包まれながら 遠く夕陽の向こうを見ていた

 



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 今日はまた 今日もまた 今日の夕陽に包まれて
 目の前の今日を見つめ 穏やかに今日を分かち合い

 それでも やがて 今日もまた
 夕陽の向こうの 遠い日を想う
 アダンの葉陰に隠れた人 消えた人を 想う


-2017/2/27 喜屋武岬(糸満市 喜屋武)-