2017-06-04

戦世を訪ねて 2008~2016

  
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斎場御嶽の艦砲穴(かんぽうあな)


 
 
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 「1945年の沖縄戦において、「鉄の暴風」と形容されるほどの砲弾が撃ち込まれ、終戦直後は沖縄本島至るところに艦砲穴といわれる砲弾でできた穴が残っていたが、大半の艦砲穴は埋められるなどして残っていない。そのため、沖縄戦の様子を伝える戦争遺跡として保存している」 (案内版より)
  
  
  

 沖縄の各地を歩いてきた中で、艦砲穴と思しき痕跡に出会うことは一度も無かった。
 あるいは人の暮らした歳月の中へ埋められて。あるいは生い茂る草木に埋もれて。あるいはまた、気づくことができずに通り過ぎて。

 初めの頃、本島南端の隆起珊瑚礁の海岸で見る浅い円筒状の窪みを「弾着」の痕跡ではないかと考えていた。しかし、後にそれは、打ち寄せる波が石礫を巻き込みながら渦巻いて、長い歳月をかけて穿った自然の地形であるということを教わった。と同時に、仮にそこに「弾着」の痕跡があったとしても、六十余年、七十余年にわたる海の営為が、それを消し去ってしまったであろうと。


 琉球の最も大切な聖地のひとつであるこの御嶽で、期せずして、艦砲穴の前に立つ。初めて、艦砲穴を見る。
 聖地であるがゆえに、人為が加えられことなく、静謐な森の営為に包まれて、七十余年前の記憶をとどめることになったのか。

 木漏れ日が射す水面の底に、大地を抉った痕跡が今も残るのだろうか。そして、飛散した弾片は御嶽の樹々をなぎ倒し、貫き、あるいは、焼いたのだろうか。そこに人はいたのか。そこでどれだけの生命が消えたのだろうか。

 世界遺産となった聖地を訪れる多くの人々が、戦争遺跡に気づくことなく、通り過ぎていった。


-2015/6/30 斎場御嶽(南城市 知念久手堅)-


 
category2015 沖縄旅日記② 夏  time23:53  authorKohagura Erio 

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