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2017-06-28



戦世を訪ねて 2008~2016

   
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   これまでに訪れた地の 記憶を辿る
   地図を広げることもなく
   目の前の景色の中に その地勢(かたち)を見つけては
   残像を重ねる

   遠く 近く この視野の中に見とめるだけでも
   あの日 あの時 向き合うことができた場所だけでも
   あまりにも多くのことが 刻まれていて

   立ちどまることなく 通り過ぎた場所にも
   光が照らす地表にも 光の届かぬ地の底にも
   風が渡っていく その先にも
  

-2015/6/26 真壁公園(糸満市 真壁)-



2017-06-04

戦世を訪ねて 2008~2016

  
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斎場御嶽の艦砲穴(かんぽうあな)


 
 
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 「1945年の沖縄戦において、「鉄の暴風」と形容されるほどの砲弾が撃ち込まれ、終戦直後は沖縄本島至るところに艦砲穴といわれる砲弾でできた穴が残っていたが、大半の艦砲穴は埋められるなどして残っていない。そのため、沖縄戦の様子を伝える戦争遺跡として保存している」 (案内版より)
  
  
  

 沖縄の各地を歩いてきた中で、艦砲穴と思しき痕跡に出会うことは一度も無かった。
 あるいは人の暮らした歳月の中へ埋められて。あるいは生い茂る草木に埋もれて。あるいはまた、気づくことができずに通り過ぎて。

 初めの頃、本島南端の隆起珊瑚礁の海岸で見る浅い円筒状の窪みを「弾着」の痕跡ではないかと考えていた。しかし、後にそれは、打ち寄せる波が石礫を巻き込みながら渦巻いて、長い歳月をかけて穿った自然の地形であるということを教わった。と同時に、仮にそこに「弾着」の痕跡があったとしても、六十余年、七十余年にわたる海の営為が、それを消し去ってしまったであろうと。


 琉球の最も大切な聖地のひとつであるこの御嶽で、期せずして、艦砲穴の前に立つ。初めて、艦砲穴を見る。
 聖地であるがゆえに、人為が加えられことなく、静謐な森の営為に包まれて、七十余年前の記憶をとどめることになったのか。

 木漏れ日が射す水面の底に、大地を抉った痕跡が今も残るのだろうか。そして、飛散した弾片は御嶽の樹々をなぎ倒し、貫き、あるいは、焼いたのだろうか。そこに人はいたのか。そこでどれだけの生命が消えたのだろうか。

 世界遺産となった聖地を訪れる多くの人々が、戦争遺跡に気づくことなく、通り過ぎていった。


-2015/6/30 斎場御嶽(南城市 知念久手堅)-



2017-04-02

戦世を訪ねて 2008~2016

  
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 一足先に訪れていた訪問者とガイドさん。
 その声を背中で聞きながら、しばし、一人になる時間を待つ。

 ガマを背にし、目の前に生い茂る草木を見る。
 草木の間を縫って流れる水は、チビチリ(尻切れ)の名のとおり、ガマの中へと落ち込むように消えてゆく。
 
 
 ガマに潜み、あの日、生死を分けた人々も、外の光の中に、この情景を見ていたのだろうか。
 ある人は、生きてふたたび。
 ある人は、最期を前に。



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-2015/6/29 チビチリガマ(読谷村 波平)-



2016-07-12

それでも、海と

  
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   いつもにも増して 「成長」という言葉が
   くりかえし くりかえし 聞こえてきた
   ニンゲンの声で

   声高に 絶対の響きをもって
   言いよどむこともなく 深思や観照に立ちどまることもなく
   ニンゲンの我執 教条 信念か

   「分配」という言葉も 時おり混じってはいたが
   分かち合うものはやっぱり どうしても 増やしたいのが
   ニンゲンの道なのか




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   政治と経済と 自己主張は どうしようもなく声高で
   哲学と思索と 分かり合い分かち合う対話は もとより静謐で
   それらがますます 遠ざかり離れていく

   やがて限りのあるこの世界の中で
   いずれ 遠からず いや できるだけ早く もうそろそろ
   足るを知っても いいんじゃないか

   静かに ゆっくり 生きてみれば
   分かち合えるものに満ちていることに
   気がつくんじゃないかな
   こんな朝に海辺を歩く豊穣は だれにでも「分配」されているよ

   そして「成長」は 心の中でも できるはずだよ
   なにも壊すことなく
   競い 争い 奪い合うことなく
  
   これ以上 矢を放つことも アクセルをふかすこともなく 


-2015/6/27 糸満市-



2016-06-21

戦世を訪ねて 2008~2015

   
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-2015/6/26 ギーザバンタ(八重瀬町 安里)-



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